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青い手がかり

2005.3.18

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
この画像は2005年3月9日にエンケラドスに非常に接近したフライバイのときに撮影されたフォールスカラー画像で、この氷の月の大きな変化のある地形が写っている。

エンケラドスのいくつかの領域は古くて多くの衝突クレーターが存在し、より新しい領域にはたくさんの世代の構造トラフと峰が存在している。微妙な色の差異が示唆しているのは、粒子の大きさのような氷の特質の差異である。このような氷の特質を知ることは、今日見られるエンケラドスの奇妙な地形を作った地質現象を明らかにする助けになる。

このフォールスカラー画像は、緑色(568ナノメートル)と2種類の赤外線(752ナノメートルと930ナノメートル)のフィルターで撮影した画像の合成で、微妙な色の差異をはっきりさせるための処理がされている。画像の背景は土星の大気で、その色はエンケラドスを引き立たせるためにグレーにしてある。

太陽光は左方向からエンケラドスを照らして、表面の一部に影を作っている。この画像に写っているのは土星と反対側の半球で、画像の中心は赤道付近である。

この画像を構成しているのは約9万4000kmの距離から望遠カメラで撮影された画像で、太陽-エンケラドス-カッシーニを結んだ線が作る位相角は48度である。画像解像度はピクセルあたり約560メートルである。

新い割れ目と古い割れ目

2005.3.18

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
エンケラドスのフォールスカラー・モザイク。この1枚の画像には、極寒の月の変化ある地形がたくさん写っている。

画像のほとんどの領域はクレーターで占められており、衝突クレーターが比較的高密度で重なっている部分もある。このことは、この領域が最も古いということを物語っている。画像下部近くには、中心に際だったドーム形の構造を伴った幅20kmのクレーターがある。画像全領域は、複雑なクモの巣構造をした割れ目と断層が横切り、割れ目と断層は数百メートルという細いものから幅が5kmもある太いものまである。

多くのクレーターの縁と内部は、平行した細い溝によってスライスされて、1km幅の板状に切られている場合が典型的である。この地域の割れ目が変化に富んでいるということは、エンケラドス表面が頻繁な構造活動の長い歴史によって形作られたということを立証している。最も古い割れ目の特徴は、輪郭がはっきりしないソフトな形をしていてたくさんの衝突クレーターで覆われているということ、最近できた割れ目の特徴は、形状が比較的はっきりしていて以前からある衝突クレーターや割れ目を切って走っているということである。

画像右側には、はっきりとした峰とトラフのねじれた系があり、際だった構造地域を作っている。この地域にはクレーターが少なく地形がはっきりしており、このことが示唆しているのはここが比較的若い地域だということである。

この画像は数枚のフィルター画像の合成で、使用フィルターは紫外線(338ナノメートル)、緑色(568ナノメートル)、近赤外線(930ナノメートル)である。画像は、微妙な色の差異を出すために強調処理がされている。これらの地域の最上部には、比較的一様なグレー色の部分があるが、これは同一の元素と同一の粒子サイズの物質で覆われていることを示唆している。しかし、割れ目の多くは典型的な表面物質とははっきりと異なる色(このフォールスカラー画像ではくすんだ青色で表現されている)をしている。このことは、割れ目が、ほとんどの表面物質とは元素が異なる物質がある深さまで達しているというように見える。

1つの可能性としては、割れ目の壁に露出しているのが固い氷、あるいは、平坦な地表面にあるパウダー状の物質とは粒子の大きさが異なる氷が露出しているということである。色の差異のさらに別な可能性としては、埋まった氷と表面の氷の元素に少し差異があることを示しているということである。古い割れ目には、「若い」割れ目の壁を示す色がほとんど見られない。このことは、古い割れ目が、この月の古い地形をほとんど全て覆っている微粒子で覆われているという可能性と矛盾しない。

1980年代初頭のヴォイジャー・ミッションで外側惑星を探査したときに、天王星の氷の月「ミランダ」に、これと驚くほど似た地表が観測された。ミランダの直径は、エンケラドスとほぼ同じで、470kmである。この2つの天体の大きさと構造変化の歴史が似ているということが示唆しているのは、非常に似た物理プロセスがこの2つの別々の月で起きたということである。

このモザイクを構成している画像は、2005年3月9日のエンケラドス・フライバイで可視光の緑色フィルターを使った望遠カメラで2万9000kmの距離から撮影された。太陽-エンケラドス-カッシーニを結んだ線が作る位相角は46度、画像解像度はピクセルあたり約170メートルである。

地形の歴史

2005.3.18

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
カッシーニのフライバイで撮影した画像で作ったエンケラドスのモザイク画像。この画像により、興味深い氷の月「エンケラドス」表面の複雑な歴史が明らかになる。

この画像に写っている領域では、割れ目が互いに交差したり衝突クレーターを横切ったりして、ほとんど全表面を覆っている。地形同士の関係を見ることで、地形がどのような順番で形成したのかが分かり、これによってエンケラドスの過去が明らかになる。例えば、このモザイクに写っているほとんど全てのクレーターは、割れ目が縁と底を走っており、このことは割れ目の方がクレーターより後にできたことを物語っている。つまり、特に近くの他の月と比べて、エンケラドスの地質活動が活発だったのが比較的最近だということである。

左上近くには東西方向に伸びる広い裂け目、中央(幅100〜400メートルの領域)には南北方向に伸びる複数の非常に細い割れ目があるなど、このモザイクには様々な割れ目が写っている。この領域の複雑さは、エンケラドスの歴史解明をしている惑星学者に、価値あるチャレンジを課している。

このモザイクを構成している画像は、2005年3月9日に可視光の望遠カメラで約1万3000〜5200kmの距離から撮影された。太陽-エンケラドス-カッシーニを結んだ線が作る位相角は44〜38度、オリジナル画像の解像度はピクセルあたり約80〜30メートルである。

エンケラドス第2回フライバイ生画像

2005.3.14

2005.3.9
望遠カメラ
偏光緑色
192,000 km
47度
1 km/pix
2005.3.9
望遠カメラ
赤外線
(930 nm)
143,000 km
48度
900 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
紫外線
(338nm)
55,000 km
47度
300 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
紫外線
(338nm)
47,000 km
47度
300 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
紫外線
(338nm)
12,000 km
43度
70 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
赤外線
(930nm)
29,000 km
46度
170 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
緑色
9,700 km
43度
60 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
緑色
23,000 km
46度
140 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
紫外線
(338nm)
18,000 km
45度
100 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
赤外線
(930nm)
14,000 km
44度
80 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
赤外線
(930nm)
21,000 km
45度
130 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
緑色
26,000 km
46度
150 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
緑色
43,000 km
47度
260 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
可視光
165,000 km
124度
990 m/pix
2005.3.9
望遠カメラ
赤外線
(930nm)
4,300 km
37度
24 m/pix

第2回エンケラドス・フライバイの生画像。データは上から、画像撮影日(米時間)、カメラ、およその撮影距離、フィルター、フィルターの波長(カッコ内、単位はナノメートル)、太陽-エンケラドス-カッシーニを結んだ線が作る位相角、およその画像解像度(m/pix はピクセルあたりのメートル、km/pix はピクセルあたりのキロ数)の順。データがないものは省略してある。左上の画像の左下隅には、土星のリングがカッシーニから離れる形でわずかに傾いているのが見える。

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