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エンケラドス南極から出る水蒸気

2005.9.19

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
IMS Peak: イオン・ニュートラル質量分光計計測ピーク
CDA Peak: 宇宙チリ分析計計測ピーク
2005年7月14日のフライバイでエンケラドスに最接近したときのカッシーニの通過経路(グラウンドトラック)を示した図。黄色の線がグラウンドトラックで、最接近の10秒前から10秒後までが示されている。最接近時の距離は地表から175km以内だった。

赤色の輪郭線内部は、合成赤外線分光計で計測された暖かい領域である。以前公表されたように、この領域内の計測温度は絶対温度110度(華氏マイナス260度)という高温だった。

カッシーニが南極領域上空を通過しているときのイオン・ニュートラル質量分光計と宇宙チリ分析計は、エンケラドス表面から微細な氷粒子が放出されていることを検知した。イオン・ニュートラル質量分光計の計測によると、水蒸気の量のピークは最接近の約35秒前で、このときのカッシーニは南極領域270km上空を飛行していた。

宇宙チリ分析計の高率検出器の検出によると、表面から放出されているパウダー状の微細な氷粒子のピークは最接近約1分前で、これは高度460kmだった。この検出の分析結果によると、微細な氷粒子の源は南極領域である。

カッシーニの様々な科学機器からもたらされた観測結果が示唆しているのは、熱、水蒸気、小さな氷粒子の源が、暖かい南極領域、特に南極に広がっている「タイガーストライプ」だということである。エンケラドスは驚くほど活動的な月だが、南極がなぜ活動の場所になっているのかは謎である。

エンケラドスのポーラー投影法画像

2005.9.16

北極を中心とした北半球
南極を中心とした南半球
Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
エンケラドス南北両半球のポーラー投影法マップ。このマップは、カッシーニとヴォイジャーのクリアーフィルターによる最良の画像を組み合わせて作られた。マップの中心は北極(右側画像)と南極(左側画像)で、各画像は赤道までカバーしている。グリッド線は緯度と経度を30度間隔で示している。

この2つのマップが示しているのは、北極付近の地表が南極付近の地表と非常に異なっているということである。北極付近の地表には最も激しくクレーターができていて、ここが最も古い領域だということが分かる。北半球のマップに写っているのは、クレーターができているのが、土星に面した側(経度0度を中心とした領域)の赤道から北極を通り、土星に面していない反対側の赤道までのベルト状の領域だということである。進行方向側の半球(西経90度)と進行方向と反対側の半球(西経270度)の赤道付近と中緯度領域は、クレーターがあまり多くなく、割れ目と断層が集中している。

南半球マップの西経0度と180度を中心として南方向に伸びるベルト状領域は、クレーターが多くなっている。しかし、南緯約55度から極方向のクレーター領域は、極付近でほとんどクレーターのないはっきりした割れ目領域に変わっている。南極領域は非常に古い北極領域とは対照的に、エンケラドスで最も新しい表面なのである。

南極地域内では、割れ目が複数個平行に走って「ストライプ形状」を作り、この割れ目の両側の側面は比較的暗い反射率(アルベド)になっているのが目につく。平行な割れ目系の興味深い特徴は、各割れ目が最西端でフックのように「曲がって」「折り返して」いるということである。これと似た折り返したようなよじれ形状はこの領域の至る所で見られ、南極領域にしかないユニークな地形になっている。

エンケラドス全球に広がる割れ目

2005.9.16

北極を中心とした北半球
南極を中心とした南半球
Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
エンケラドス表面の割れ目形状は、複雑で長い構造変化活動の歴史を物語っている。割れ目は地質学的に最も新しく、その多くはエンケラドスの自転軸に対して、さらに潮汐方向(つまり、土星の方向)に対しても驚くほど系統的なパターンを見せている。

割れ目のこのようなパターンは、土星の潮汐力、あるいはこの月の内部構造の変化によって引き起こされたと考えられ、この月が時と共に被ってきた全球的な形状変化に関する手がかりを与えてくれる。カラーで示されている部分は最も顕著な全球パターンのいくつかである。

このマップは、カッシーニとヴォイジャーの最良のクリアーフィルター画像を組み合わて作ったポーラー投影法画像で、極を中心として赤道までをカバーしている。グリッド線は30度間隔で緯度と経度を示している。なお、前ページの画像は割れ目がカラーで示されていない画像である。

北極領域付近は最もクレーターが多く、最も古い部分である。割れ目ができていることがはっきり分かる南極領域は、ほとんど衝突クレーターがなく、地表が最も新しいものになっている。

南極領域のユニークな地形は折りたたんだような広い筋の系で、これは南極領域全体に見られる。これらの割れ目の顕著なものは、南緯55度付近で南極を取り囲んむように連なったもの(南極マップで赤色にしてある部分)で、赤道に近い領域の古い地表を突然終わらせているように見える。

南極領域の波状の境界は、多くの場所で北方向に曲がって先細りになっている「Y」の字形(あるいは漏斗のような形)の不連続形状で中断している。「漏斗の形」がよく分かる好例は、南北方向に伸びる傾向のある割れ目(青色になっている)への移行領域にある。

南北方向に裂けた割れ目は、緯度に平行な張力に呼応して形成されたように見える最も良い例である。このような「円形の張力」の発生は、エンケラドスの自転率の変化に伴って、遠心力で赤道部分が引っ張られてふくらんだときに予想されるものである。

エンケラドスの割れ目の全球的な系統的パターンは、クレーターの多い太古の領域だけではなく、新しい領域にも現れている。緑色の部分(特に北半球のマップにはっきりと現れている部分)は、南北方向と東西方向という90度異なる方向に伸びた割れ目で、これらは潮汐軸に非常に近い位置にある。朝夕軸とは、経度0度から180度の方向に伸びる線である。このような直交する割れ目ができたのは、土星による潮汐力のためなのかもしれない。

月の観測

スピリット ソル591日〜598日 ステータス

2005.9.15

 
 
Credit: NASA/JPL/Cornell / Image arrangement: Mori Kanai
ソル594日にスピリットのパノラマカメラで撮影した画像を3枚つないで作った「ハズバンドの丘」頂上からの眺め

スピリットは良好な健康状態で、電力供給も良く、何の問題もない。テレコム・チームは今週、スピリットのアップリンク率を秒速1000ビットから2000ビットに変更した。火星の公転軌道は2年ごとに地球に数ヶ月間接近するが、現在の火星は地球に近くなっており、火星探査機から地球の深宇宙ネットワークへ電波が届く時間(光の速度)はわずか5分である。このように電波到達所要時間が短くなったということは、通信に多くの余裕ができたということで、アップリンクが高率で行えるのである。高率アップリンクはソル598日に行われて成功した。

スピリットは9月2日〜8日に別な画像撮影位置に移動し、2回目の集中ステレオ画像撮影を行った。次にスピリットは「アーヴィン」に戻り、火山からのマグマが岩石の上を通ったときにできることが多い割れ目のような切り込みの溝ではないかと思われる領域を調査した。火星の月「フォボス」と「デイモス」の観測もさらに行われ、3日間にわたるキャプチャーマグネットのメスバウアー分光計計測も完了した。

ソル592日(2005年9月2日)
第2の丘の頂に移動してステレオ画像撮影。

ソル593日
遠隔調査。

ソル594〜595日
キャプチャーマグネットのメスバウアー分光計計測。フォボスとデイモスの観測。ステレオ画像撮影。

ソル596日
キャプチャーマグネットのメスバウアー分光計計測と13枚のフィルターを使ったパノラマカメラ画像撮影。

ソル597日
パノラマカメラ画像撮影終了。捕獲/フィルター・マグネットの顕微画像撮影。キャプチャーマグネットのアルファ粒子X線分光計計測。

ソル598日
アーヴィンに戻る。

ソル598日(2005年9月8日)現在のトータル走行距離は4895メートルになった。

火星から見た2つの月

2005.9.13.

Image Credit: NASA/JPL/Cornell/Texas A&M
スピリットは太陽エネルギーの余剰を使って夜間の空の観測を行い、火星の2つの月の撮影を行った。「地球以外の惑星の天文台を操作することはとても楽しい」ニューヨークのイサカにあるコーネル大学の惑星学者で、スピリットとオポチュニティのパノラマカメラの主任学者である Jim Bell はこう語った。この画像は、ソル585日(2005年8月26日)の夜、グセフ・クレーター内のハズバンドの丘の頂上から撮影した合成画像で、時間を追ったフォボス(右の明るい月)とデイモス(左の暗い月)の動きが写っている。小さな筋は背景の星が動いた跡、あるいは宇宙線が画像のピクセルにランダムに衝突した跡である。

2つの月の画像は、月の軌道位置をより正確に把握し、月の組成についてより良く理解し、夜間の雲(もや)の存在を検出するために使われる。スピリットは低照度で使うよう設計された広域バンドフィルターを使ったパノラマカメラで5枚の画像を撮影し、この画像はそれらの合成である。

火星の夜空

2005.9.13.

Image Credit: NASA/JPL/Cornell/Texas A&M
スピリットは太陽エネルギーの余剰を使って夜間の空の観測を行い、火星の2つの月の撮影を行った。これらの画像は、ソル590日(左側画像、2005年8月30日)とソル594日(右側画像、2005年9月4日)の夜、グセフ・クレーター内のハズバンドの丘の頂上から撮影した合成画像で、時間を追ったフォボス(どちらの画像も左にある明るい月)とデイモス(右の暗い月)が写っている。画像撮影間隔は170秒(左側画像)と150秒(右側画像)で、フォボスの方がデイモスより動きが速いのが分かる。2つの月はどちらも上から下へ動いている。右側にある筋は明るい星の「アルデバラン」が動いた跡で、牡牛座中の他の星も写っている。これ以外のほとんどの筋形状は宇宙線が画像のピクセルにランダムに衝突した跡である。

2つの月の画像は、月の軌道位置をより正確に把握し、月の組成についてより良く理解し、夜間の雲(もや)の存在を検出するために使われる。スピリットは低照度で使うよう設計された広域バンドフィルターを使ったパノラマカメラで6枚の画像を撮影し、この画像はそれらの合成である。

パンドラのクローズアップ

2005.9.13

Image Credit: NASA/JPL

パンドラは直径84kmという土星の小さな月で、Fリングのシェパード衛星としてリングを保つ役割をしている。この画像は、これまでで最も近くからパンドラを撮影したもので、表面にたくさんのクレーターがあるのが写っている。

この画像は、2005年9月5日に約5万1321kmの距離から可視光の望遠カメラで撮影されたもので、画像処理はされていない。

M. Kanai