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アラドにて

スピリット ソル715〜722日ステータス

2006.1.22

Credit: NASA/JPL
ソル721日に前方危険防止カメラで撮影した画像。スピリットは偶然車輪で掘り返した白っぽいパウダー状の物質をアーム機器で調査した。
Credit: NASA/JPL
ソル721日にパノラマカメラで撮影した画像。方向転換のときに車輪で偶然掘り返した地表に出てきた白いパウダー状の物質。この領域は「アラド」と名付けられた。

スピリットは健康で、「ホームプレート」へ向けてできるだけ効率の良い移動をしている。スピリットは、ホームプレートへの途中、白いパウダー状の土壌の塊がある「アラド」を見つけて立ち止まり、数日間留まってこの物質の調査をすることにした。調査結果は間もなく出るはずである。

ソル715日(2006年1月6日)
ターゲットなしの遠隔調査。

ソル716日
指示走行と自動ナビゲーションの組み合わせで54メートル移動。

ソル717日
80パーセントのスリップという滑りやすい地表のため、移動はわずか1.38メートルだった。

ソル718日
ターゲットなしの遠隔調査。

ソル719日
9.3メートル移動後、これまでにない砂の領域でスリップが80パーセントを超えて停止。

ソル720日
ターゲットなしの遠隔調査と大気調査。

ソル721日
週末の「アラド」調査のためのアーム位置を調整。「アラド1」と「アラド2」というターゲットをパノラマカメラとミニ熱放射分光計で調査。

ソル722日
ターゲットなしの遠隔調査。車輪跡のパノラマカメラ画像撮影。

ソル722日(2006年1月14日)現在のトータル走行距離は6096メートルである。

タイタンに接近

2005.1.21

Image Credit: NASA/JPL; Movie: Mori Kanai

2006年1月15日のタイタン・フライバイで撮影した画像を使ったムービー。使用画像は33枚で、1月13日から15日までに広角カメラで撮影した画像が時間順になっている。各画像の時間間隔は不定期で、使用フィルターも異なるものが含まれている。最初の画像の撮影距離は16万5344km、最も接近したものは23番目の画像で距離は1万3921km、最後の画像は1枚目と同じ16万5344kmである。ムービー前半では「シャングリラ」という名の暗色領域に徐々に接近し、後半は遠ざかっていくタイタンを振り返って見ている。後半の画像では、背後からの光に照らされたタイタン縁の大気が光っている。

当て逃げの惑星

2006.1.20

Image Credit: LPL Space Imagery Center
月の高地の画像。この領域は彗星ではなく、ほとんど隕石に打たれたという研究結果が出ている。これらの隕石は、進入してきた巨大惑星のために小惑星帯が不安定になり太陽系内側領域に落ちてきた小さな天体である。地球も同時に隕石に打たれたが、その後の地質活動のためにその痕跡はほとんど消されてしまった。この画像は1966年4月1日に撮影された。
多くの惑星、小惑星、隕石の組成は、「当て逃げ理論」で説明できるかもしれない。現在考えられていることは、4つの地球型惑星(水星、金星、地球、火星のことで、これらの惑星は岩石でできている)の形成は、ゆっくりと時間をかけた降着によるということだが、天体がかすってぶつかり互いに大きな被害を被るということが続いたと考えることもできる。これは、これまでの理論では説明できなかった惑星、小惑星、隕石の特質も説明できるのである。

4つの地球型惑星は、太陽系初期に数千万年間続いた様々な大きさの惑星天体同士の激しい衝突の産物である。この「衝突」という概念は、新たな物質の「降着」という言葉で理解され、「衝突された惑星」に視点が置かれて「衝突してきた天体」(インパクター)はほとんど無視されてきた。(「インパクター」の定義は、衝突した2つの天体のうちの小さい方のことである。)

2つの天体は衝突で合体するとは限らず、ほぼ半分のケースでは互いに跳ね返り、この「当て逃げ」衝突では「インパクター」に悲劇的な被害が起き、大気、外皮、それにマントルでさえ失われたり、ちぎれて複数の小さな天体になってしまうこともある。

Image Credit: NSA ARC
このような破壊されたインパクターは小惑星帯のあらゆるところに見られ、地球に落ちてくる隕石も他の惑星天体の破片なのである。現在ある水星も、外層部をはぎ取られて比較的大きなコア部分と薄い外皮とマントルが残った「当て逃げインパクター」なのかもしれない。このシナリオは不確かな推論の域を出ないが、さらに研究する価値はある。

惑星衝突は、同じ大きさの惑星のかするような軽い衝突から正面衝突まで、強力なコンピュータによるシュミレーションが行われ、衝突が惑星元素に及ぼす影響と最終的な天体残余の状態についての分析が行われた。その結果、2つの天体が実際に接触しないような接近遭遇でも、小さな天体には深刻な影響が及ぶということが分かった。

2つの大質量天体がすぐ近くを通過すると、重力により劇的な変化(減圧、溶解、物質のはぎ取り、そして小さい方の天体の消滅さえも)が起きる。天体は自分自身の重力で膨大な圧力を自分自身に及ぼしているのだが、近くをさらに大きな天体が通過すると自分自身に及ぼしている圧力は劇的に小さくなり、この減圧は爆発的になることもある。このように、大きな天体が大きなダメージを引き起こすには、必ずしも接触する必要はなく、重力の影響だけで十分なのである。

当て逃げ衝突では、様々な種類の小惑星が作られる。あるものはそれほど歪んでいない小さな普通の惑星のようなもの、別なものは鉄分の豊富な犬用の骨のような形になるものもある。つまり、衝突の結果は、鉄の豊富なコア部分から、異なる量の珪酸塩が混ざった惑星型のものまで、様々だということである。

この発見は、『ネイチャー』誌1月12日号に掲載された。

Hit and Run Planets

スペースカレンダー 2006年4月

2006.1.19

スペースカレンダー 2006年4月

事象の地平面

2006.1.18

X線バーストのアニメーション
Image Credit: Credit: NASA/Dana Berry
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の天文学者チームの観測によると、中性子星表面に見られるある種の爆発は、中性子星の兄弟であるブラックホールでは見られないということが分かった。このことはブラックホールに「事象の地平面」が存在することの強力な証拠になる。

事象の地平面とはブラックホール周囲の理論上の境界で、そこから内側では、光をも含むどんなものも重力吸引から逃げ出すことができなくなる。これがブラックホールを視界から見えなくしており、ブラックホールをその名の通り何も見えない「黒い穴」にしているのである。

この観測は9年間にわたってNASAのロッシX線タイミング衛星を使って行われ、中性子星と思われる13の天体からのX線バーストが135回検出されたのに対し、ブラックホールと思われる18の天体からのバーストは1つも検出されなかった。

近隣の星から放出されたガスは中性子星に引き込まれてその固い表面に蓄積し、熱核爆発を起こす。ブラックホールは中性子星よりも質量が大きくてサイズが小さく、表面がないように見え、ブラックホールの方向に落ち込んだガスはそのまま消えてしまうように見える。事象の地平面は理論上見えないもので、その存在を証明するのは不可能のように思えるが、それでも、ガスを引き込む高密度の天体を観測して、そのガスが固い表面に衝突して蓄積されるのか、そのまま静かに消えてしまうのかを見ることで推測することができる。

ブラックホールが形成されるのは、非常に質量の大きな星が燃料を使い果たしたときである。このようなエネルギーのなくなった星は、自身の質量を支えることができずに内側に向かって崩壊してしまう。天体が太陽質量の25倍以上あると、崩壊した星は密度が無限に大きくて表面のない「点」になってしまう。こうしてできたブラックホールの中心から約80km以内の領域は重力が非常に強く、光でさえ逃げ出すことができない。この境界が理論的な「事象の地平面」なのである。

このように太陽質量の25倍以上の天体はブラックホールになるが、10〜25倍の天体が崩壊してできるのは直径約16kmという天体で、これは中性子星と呼ばれている。中性子星には固い表面があり、事象の地平面はない。

ブラックホールと中性子星は、比較的普通の星を伴った連星系になっていることがあり、ブラックホールと中性子星の強力な重力のために伴星からガスが引き出される。このプロセスは「降着」と呼ばれ、大きなエネルギーを、主にX線の形で放出する。

ガスは中性子星表面に蓄積され、十分たまると熱核爆発を起こし、これが1分間という短時間のX線バーストとして観測される。中性子星より質量が大きいブラックホールは、あたかも表面がなく事象の地平面の中に隠れているような行動をするため、X線バーストのような現象は何も観測されないのである。

Scientists find black hole's 'point of no return'

チャンドラX線天文台
事象の地平面
巨大ブラックホール近隣から高速で広がるガス
ハッブル宇宙望遠鏡
ブラックホールの事象の地平面
チャンドラX線天文台
ブラックホールから逃げようとする光
天文ニュース
ブラックホールを見る
天文ニュース
大質量ブラックホール周囲のリング
チャンドラX線天文台
降着円盤から放出される物質
天の川銀河のモンスター
チャンドラX線天文台
回転するブラックホール

リターンカプセル回収の模様

2006.1.17

Image Credit: NASA

  大気圏再突入の摩擦で火球となったサンプル回収カプセル。これは予想軌道の終端を飛行していたNASAのDC−8から撮影したもので、関係リサーチャーの機関は、NASAエイムズ、SETI、アラスカ大学、ユタ州立大学、ロッキード・マーティン、米空軍アカデミー、神戸大学(日本)、シュトゥットガルト大学(ドイツ)である。

1月15日19時10分(日本時間)に米空軍ユタ州テスト訓練場に無事着地したサンプル回収カプセル。このカプセルには、スターダスト探査機が採取した彗星と星間のチリサンプルが格納されている。

サンプル回収カプセルは米空軍ユタ州テスト訓練場に着地し、そこからヘリコプターで搬送された。写真は保護カバーに包まれ、ヘリコプター内に置かれたリターンカプセルである。

スターダストのカプセル無事タッチダウン

2006.1.15

Image Credit: NASA TV
スターダストのリターンカプセルは1月15日19時10分(日本時間)に米空軍ユタ州テスト訓練場に着地した。この画像は、カプセル着地サイトの地表に着陸したヘリコプターの赤外線写真である。このカプセルには、スターダストが採取した彗星と星間チリのサンプルが入っている。

スターダスト・サンプルカプセル回収のムービー
スターダストは間もなく帰還

ガスを包み込む磁場

2006.1.15

ワシントンDCで開催された米天文学会で2006年1月12日に発表されたところによると、「オリオン分子雲」という名のガスとチリの細長い雲を、ヘビが巻き付いているように螺旋状の磁場が包み込んでいるということがカリフォルニア大学バークレー校の天文学者によって発見された。磁力線は引っ張られた輪ゴムのようになっており、この張力のためにガス雲が圧搾されて細いフィラメント状になっている。星間雲の形は磁力によって作られるのではないかと考えられてはいたが、磁力が星間雲に直接影響を及ぼしている証拠が発見されたのは今回が初めてである。星間分子雲は星形成領域で、オリオン分子雲には星形成領域が2つ含まれている。その1つはオリオンのベルトの部分、もう1つは剣の部分にある。星間雲はずっと希薄なガス領域内の濃密部分だが、それでもこの「濃密さ」は地球のレベルでは完全な真空と言える。このような雲に磁力が加わると、この薄い雲の重力でもガスが収縮して新しい星ができるようになるのである。

画像: オリオン座の画像にスーパーインポーズされたオリオン分子雲。画像上部にあるオレンジ色の星はベテルギウス、下部にあるのはリゲルである。挿入画像は、フィラメント状の雲を包んでいる螺旋状の磁場を示している。
Credit: Saxton, Dame, Hartmann, Thaddeus; NRAO/AUI/NSF (Astronomers find magnetic Slinky in Orion