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火星のガリーは水のせいではない

2006.3.22

Image Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems
火星にガリーが発見されたということが発表されたのはつい数年前のことだった。地球上にできるこのようなガリーは、水が高速で丘を流れ落ちて土壌を削ってできる。残念なことに火星のガリーの場合にはこれとは別な説明もあるかもしれない。火星のものと似たガリーは月でも見つかっており、ガリーが完全に乾いた(水のない)環境でもできる可能性もある。つまり、微小隕石がクレーター壁の側面に衝突し、そこで地滑りが起きてできたということである。

画像:  マーズ・グローバル・サーベイヤーのMOC狭角カメラで撮影した画像。ここに写っているのは、シレナム大地のニュートン盆地にある2つの隕石衝突クレーターの壁にできたガリーである。

マーズ・グローバル・サーベイヤー
火星のガリー
(ここに掲載されている画像と解説)

エンケラドスからの氷粒子の噴出(2)

2006.3.21.

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

この2組みの画像は2005年2月(上)とその1ヶ月前の同年1月(下)にカッシーニが撮影したもので、南極上空に氷物質の噴煙が広がっている のが写っている。左の画像は白黒画像、右は同じ画像をカラーコード化したもので、カラーコード化画像ではより暗い噴煙がずっと遠くまで広がって いるのが分かる。下の画像は南極に大きく伸びるタイガーストライプ裂け目に対して垂直方向を撮影している。

このような画像は、この月の壮観な地形を作り出したプロセスを解明するための分析に使われている。この噴煙は、『サイエンス』誌2006年3月 10日号で述べられているように、表面の下にある絶対温度約273度(摂氏0度)の液体状の水が溜まっているところが加圧されて、間欠泉爆発を 起こしているためだと考えられている。

上の画像の1ヶ月前に撮影した下の画像には、壮観な「タイガーストライプ」裂け目から出ている2つの噴出のうちの大きな方の噴出が写っている。 上の画像(2月撮影)にはタイガーストライプの裂け目に沿って、大小2つの噴出部分が写っており、小さくて暗い部分が大きな部分から100km ほど離れているのが分かる。

タイガーストライプについては、「DVD−ROM「NASAの宇宙探査」2005年版 カッシーニ土星探査機 → エンケラドス → 2005.7.14 フライバイ タイガーストライプ」 をご覧いただきたい。

上の画像は、約32万1000kmの距離から望遠カメラで撮影された。太陽-エンケラドス-カッシーニを結んだ線が作る位相角は153度、画像解 像度はピクセルあたり約1.8kmである。下のモザイク画像は南緯46.8度、西経188度を中心としており、画像解像度はピクセルあたり67 メートルから350メートル、撮影距離は1万1100kmから6万1300kmである。

エンケラドス周囲にチリ粒子を発見
エンケラドスのモザイク

月の地震

2006.3.19

Image Credit: NASA
1969年から1972年まで行われたアポロ月ミッションでは、アポロ12号、14号、15号、16号によって着陸サイトに地震計が設置され、1977年にスイッチが切られるまで、月にも地震があるのかどうかが調査された。この機器が検出したのはほとんどがマイナーな振動だったが、マグニチュード5.5異常という非常に強い揺れもいくつか観測された。この強い地震は非常に長い時間継続し、10分間にわたることもあった。月の地震は少なくとも4種類あり、それは以下のようなものである。
  • (1)潮汐が原因と考えられる約700kmという深い位置の地震。
  • (2)隕石衝突による震動。
  • (3)2週間続く極寒の夜の間に凍った地殻が太陽光に照らされて暖まって伸びるために起きる熱地震。
  • (4)わずか20〜30kmの深さで起きる浅い地震。
今後の月ミッションで人間が月に基地を作るときには、その構造物は時々起きるこのような地震に耐えられるものでなければならない。

画像:  「静かの海」で地震計を設置するバズ・オルドリン。

5輪走行を続行

スピリット ソル778〜783日ステータス

2006.3.18

Credit: NASA/JPL
ソル780日にナビゲーションカメラで撮影した画像。スピリットはマックールの丘への移動を行っているが、距離はまだ120メートルある。この画像はスピリットの後方を撮影したもので、進んできた車輪跡が地表に見える。
Credit: NASA/JPL
ソル780日に前方危険防止カメラで撮影した画像。スピリットは後退で走行しているため「前方」といっても実際は「後方」になり、これまで走行してきた車輪跡も見える。右側が問題のある車輪である。

スピリットは太陽エネルギーが減少し右前輪に問題があるにもかかわらず、マックールの丘への接近に進展を見せている。スピリットは太陽光が最大限に得られる北に面した丘の斜面で冬を過ごすことにしている。ソル779日(2006年3月13日)には右前輪の走行作動装置が、アンテナの位置を調整するための転回中に停止した。右前輪停止でその日の移動は終了し、マックールの丘まで29メートル接近したが、丘までの距離はまだ約120メートルある。

ソル781日と782日には、ジェット推進研究所のテストベッドと火星のスピリットで右前輪のテストが行われたが、右前輪の作動装置がどうして停止したのかを確定するにはさらに分析が必要である。一方、スピリットへの5輪走行のコマンド送信は成功し、5つの正常な車輪を使って右前輪を引きずりながらの後退走行が続行されることになっている。

ソル778日(2006年3月12日)
1日中、遠隔大気調査。

ソル779日
約29メートル移動して走行後撮影。右前輪の走行作動装置の支障により走行は終了。

ソル780日
1日中バッテリーの充電と前日の走行の情報の地球への再送信。右前輪の画像をさらに撮影。

ソル781日
診断テストを完了し5輪だけを使って3.9メートル移動。診断テストによると、右前輪の問題は走行作動装置に関連したもので、ステアリングに関連したものではない。

ソル782日
5輪だけを使って約12メートル移動の計画。

ソル783日(2006年3月17日)
1日中眠ってバッテリー充電の予定。

ソル781日(2006年3月15日)現在のトータル走行距離は6797メートルである。

ディスカバリーは7月に打ち上げ

2006.3.17

Image Credit: NASA/JSC
スペースシャトル「ディスカバリー」(STS-121ミッション)の打ち上げは、外部燃料タンクのセンサーを修理する時間を作るため7月まで延期された。新しい打ち上げウインドウは7月1日から19日までで、全てがうまくいけばディスカバリーはこの期間に打ち上げられて国際宇宙ステーションにドッキングする。搭乗するのは7人の宇宙飛行士で、ステーションへの物資供給と、コロンビア後のシャトル・アップグレードと修理技術のテストが行われる。

画像:  STS-121のクルー。左からミッションスペシャリストの Stephanie Wilson と Mike Fossum、コマンダーの Steve Lindsey、ミッションスペシャリストの Piers Sellers、パイロットの Mark Kelly、ミッションスペシャリストの Lisa Nowak で、この写真には写っていないが欧州宇宙機関の Thomas Reiter もミッションスペシャリストとして搭乗する。

ハーフパイプス

オポチュニティ ソル751〜756日ステータス

2006.3.16

Credit: NASA/JPL
ソル755日にナビゲーションカメラで撮影した画像。中央には露出層が写っている。
Credit: NASA/JPL
ソル751日にナビゲーションカメラで撮影した画像。オポチュニティはこのペイソン露出層に沿って進んで科学調査をした。

オポチュニティは元気で、エレボスクレーターのペイソン露出層に沿って南に移動している。この移動の道筋は有名なオリンピックの競技にちなんで「 ハーフパイプス ハーフパイプ: スノーボーディングのできるスキー場に造られている、パイプ(管)を半分に切ったような細長い溝状の斜面。 」(複数のハーフパイプ)と呼ばれている。先週のオポチュニティは1つのハーフパイプに沿った移動をして露出層の高解像度パノラマカメラ画像を撮影し、この画像撮影は「スクート・アンド・シュート」という名が付けられた。現在のオポチュニティはこの道筋から離れ、次のハーフパイプに向かう計画が立てられている。オポチュニティはハーフパイプでの移動が可能かどうかによって、露出層の「スクート・アンド・シュート」画像撮影を週末にも続けるか、それとも「ビクトリア・クレーター」へ向かう道筋に進むかを決める。

ソル751日(2006年3月5日)
短距離移動。走行中間で露出層のパノラマカメラ画像を撮影。次にハーフパイプを約8メートル移動。

ソル752日
ターゲットなし遠隔調査としてナビゲーションカメラとミニ熱放射分光計を使った大気科学調査と前方地表の系統的調査を実施。「前方地表系統的調査」とは、オポチュニティのすぐ前の異なる物質のデータをくまなく収集することである。

ソル753日
走行前撮影として1つの小石のパノラマカメラ画像を撮影。4メートル移動。露出層の撮影。次に約11メートル移動して最初のハーフパイプから出て次のハーフパイプに向かった。走行後撮影も実施。

ソル754日
パノラマカメラとミニ熱放射分光計で前方地表系統的調査。大気科学調査も実施。

ソル755日
ハーフパイプ縁へ約19メートル移動。移動可能性を見極めるために走行後撮影を実施。

ソル756日(2006年3月10日)
計画は雲の撮影の試みを含む大気科学調査。

ソル753日(2006年3月7日)現在のトータル走行距離は6645.57メートルである。

マックール長基線ステレオ

スピリット ソル771〜777日ステータス

2006.3.15

Credit: NASA/JPL Anaglyph: Mori Kanai
Credit: NASA/JPL/Cornell Anaglyph: Mori Kanai

画像:  長基線ステレオ画像(左)と通常のステレオ画像(右)の比較。長基線ステレオ画像の左目用の画像はソル776日、右目用の画像はソル777日にいずれもパノラマカメラで撮影された。左目用画像撮影後にスピリットは8メートル移動して右目用画像を撮影した。この間隔は人間の左右の目の間隔よりもずっと広いため、遠方の地形が立体的に見やすくなっているのが分かる。右の画像はソル776日にパノラマカメラで撮影した通常のステレオ画像で、長基線ステレオ画像と比べると遠方の地形の立体感は少ないが、近くの地表ははっきりと見え、人間が左右の目で見たときの自然な見え方になっている。この画像を立体的にご覧になるには、赤色と青色の3−Dメガネが必要です。(m.kanai)

スピリットはソル764日(2006年2月25日)にホームプレートからバックで下り、南東のマックールの丘の方向へ103メートル進んだ。移動の途中では「ファジースミス」という名の岩石ターゲットをアーム機器で分析し、ホームプレート縁とミッチェルツリー・リッジの露出層の遠隔科学調査を行った。マックールの丘に接近しすぎないうちに、この丘の長基線ステレオ画像の撮影が計画されている。この画像により、スピリットの道筋決定に必要な表面形状の計測ができる。

Xバンド波長を使った通信は、火星に接近中のマーズ・レコネッサンス軌道船の捕捉に使われたため、オデッセイをリレーした地球からスピリットへの通信はこの週はUHF波長で行われた。今週のスピリットの通信は、Xバンドを使ったアップリンクが再開される。

ソル771日(2006年3月4日)
ルーブ・フォスター (1879-?)テキサス州出身のニグロリーグの投手。ニグロリーグで監督オーナー・リーグ会長もつとめた。1981年殿堂入り。 」と「ウィリー・ウェルズ」のメスバウアー分光計計測と13枚のフィルターを使ったパノラマカメラ画像の撮影。午後のオデッセイ通信セッション中は、ミニ熱放射分光計計測を実施。次に「ファジースミス」岩石ターゲットのメスバウアー分光計計測を開始。

ソル772日
アームを格納してファジースミスのパノラマカメラ画像を撮影。次にホームプレートを横切って南東方向に27メートル移動。移動後、午後の大気のチリによる不透明度調査と、空と地表のミニ熱放射分光計計測。

ソル773日
起床後、空のパノラマカメラ・サムネイル画像撮影での大気調査と、空と地表のミニ熱放射分光計計測を続行。午後は調査ターゲット選定と今後のルート決定のため、パノラマカメラ画像とナビゲーションカメラ画像を撮影。パノラマカメラによる地表の系統的サーベイと砕屑(せつ)岩のサーベイを実施。

ソル774日
ホームプレートからバックで下りて「ダッグアウト」(ホームプレート南東縁近くのガリー)に入る。走行中間点画像と走行後画像を撮影。次に空の不透明度観測と、空と地表のミニ熱放射分光計計測を実施。

ソル775日
空のパノラマカメラ・サムネイル画像撮影と空と地表のミニ熱放射分光計計測。アームを格納したまま30分間にわたるアルファ粒子X線分光計による温度データ収集。午後は、ミニ熱放射分光計による調査。

ソル776日
予定はパノラマカメラによる「マックールの丘」長基線ステレオモザイク画像の片方の側の撮影開始、次に8メートル移動してもう一方の側のステレオモザイク画像の一部を撮影。

ソル777日(2006年3月11日)
予定は午前中の大気調査、長基線ステレオモザイク画像撮影終了、「ビティ・クラウド」というターゲットの撮影。

ソル775日(2006年3月9日)現在のトータル走行距離は6756メートルである。

スペースカレンダー

2006.3.14.

スペースカレンダー 2006年4月 (2006.3.14.更新)
スペースカレンダー 2006年9月

顔のような画像

2006.3.14.

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/USGS/Cornell

ソル764日(2006年2月26日)火星現地時間11時48分に撮影したフォールスカラー画像。丸いブラッシング跡のある2つの岩石は、非公式に「スターズ」(左)と「クロフォード」(右)と名付けられた岩石ターゲットである。チリにまみれた赤い土壌の中にある小さな岩石と小石の背後には、数センチの長さの小さなチリの筋が伸びている。画像撮影時のスピリットは南西方向を見ていたので、これらの風の筋が示唆しているのは風向きが南東方向からだったということである。

スターズとクロフォードは「ホームプレート」の上の露出岩石である。この露出岩石は非公式名が「ジェームズ・クールパパ・ベル」で、これはピッツバーグ・クロフォードとカンザス・シティ・スターズの両球団で活躍したニグロリーグ野球殿堂入りの選手の名である。この画像中に写っている岩石を見ると、2つのブラッシング跡は2つの目、2つの目の間の岩石とその下の岩石は鼻、そして画像下部の横長の層状岩石は口のようで、全体として人間の顔のように見える。

この画像作製で使われたフィルター画像は、753ナノメートル、535ナノメートル、432ナノメートルで、岩石、土壌、ブラッシング領域の色の差異をきわだたせるために強調されている。左側のスターズ岩石のブラッシングはソル761日(2006年2月22日)、右側のクロフォード岩石のブラッシングはソル763日(2006年2月25日)である。

マーズ・レコネッサンス軌道船、火星軌道投入

2006.3.11

Image Credit: NASA/JPL
火星軌道上のマーズ・レコネッサンス軌道船の概念図
マーズ・レコネッサンス軌道船は、火星軌道投入のための正確な時間を要求されるエンジン燃焼に成功し、このミッションでの決定的な段階を乗り越えた。

探査機はエンジン燃焼中に火星の背後に隠れ、軌道に入った探査機が日本時間3月11日午前7時16分に再び現れて地球でシグナルが受信されたが、このとき、NASAのジェット推進研究所とロッキード・マーティン推進システム社では大きな歓声が上がった。

2005年8月12日にフロリダから打ち上げられた探査機は約5億kmを飛行して火星に到達し、火星の重力に捕らえられるためにメインスラスターを燃焼して減速した。スラスター燃焼が始まったのは探査機からの通信がまだ地球で受信できるときだったが、探査機は30分間かかる燃焼中に火星の背後に隠れて通信は中断した。

ミッションは今後半年間、火星大気を使ったエアブレーキで細長い軌道を2時間周期の円形軌道に縮める。主科学ミッションは2006年11月に始まり、これまでの火星軌道船よりも低い高度の320〜255kmのほぼ円形軌道からの観測を行う。マーズ・レコネッサンス軌道船は、これまでの火星ミッション全てを合わせたものよりも多くの科学データを送り返してくる。

マーズ・レコネッサンス軌道船は火星まであと半分
マーズ・レコネッサンス・オービター
マーズ・レコネッサンス・オービターがケネディ宇宙センターに到着
火星探査の昨日と明日
火星探査の明日(1) 〜マーズ・レコネッサンス・オービター〜

ペイソン・パノラマ

2006.3.10.

Credit: NASA/JPL-Caltech/USGS/Cornell

エレボスクレーター西側縁にある「ペイソン」露出層のパノラマ。画像はソル744日(2006年2月26日)にオポチュニティのパノラマカメラで撮影したもので、この露出層北側終端部の方向から見た層状岩石が、厚さ約1メートルのクレーター壁の中にあるのが見える。この画像には、クレーターを作ったときの衝突で歪み、長い年月で浸食された岩石も写っている。

露出層の左側は、小球体をたくさん含んでいる薄くて平坦な土壌層でより多くの露出物質が覆われている。現在のオポチュニティはこの「道」を移動して約25メートルの長さのこの露出層を調査しており、この後、エレボスクレーターを後にする。

パノラマカメラ画像は4種類のフィルターで撮影され、モザイクはこのうちの3種類のフィルター画像をつないで作られ、幅約90度をカバーしている。上の画像はフォールスカラー、下の画像はほぼ自然色で、使用フィルターはどちらも753ナノメートル、535ナノメートル、423ナノメートルである。フォールスカラーを使うと、岩石層と土壌層の微妙な色の差異が強調されて分析がしやすくなる。空の部分の画像同士のつなぎ目はどちらのモザイクも、人間が火星に立って直接見たときの光景に近づけるために消されている。

南極の氷の溶け方は速い

2006.3.9

Image Credit: Ben Holt, Sr.
南極の氷の質量の包括サーベイが完了し、2002年以来の氷の減少は非常に大きく、氷の減少率は特に西部南極が最も大きいことが分かった。2002年から2005年までの氷の減少により、地球上の海水面は約1.2ミリ上昇した。この計測は、地球の重力場のわずかな変化を検出することができる GRACE衛星によって行われた。2002年4月から2005年8月までの毎年の南極の氷の減少量は152+−80立方kmで、これはアメリカの水使用量の3ヶ月分に相当する。今回の調査は、これまで行われた南極の氷の減少に関する推測で最も正確なものである。