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生命を探すサイト

2006.4.24

Image Credit: ESA/OMEGA/HRSC
欧州宇宙機関のマーズ・エクスプレス探査機は、将来のローバーが生命を探査する可能性がある領域の火星全体の鉱物マップを作る集中活動を完了した。この新分析で、火星には地質学的に3つの年代の領域があることが分かり、生命が形成した可能性がある領域についての重要な手がかりが得られた。火星に湖と海があったとすれば、それは40億年前という遙かな昔で、この水の環境は5億年以内で消え去ってしまった。

この観測結果はマーズ・エクスプレス搭載のOMEGA(the Observatoire pour la Mineralogie, l'Eau, les Glaces et l'Activite)観測機器による1火星年(687地球日)にわたる調査で、火星表面の90パーセントをマッピングして得られた。

火星形成後すぐの、45億年前から42億年前までの間は、「フィロージアン時代」( 'phyllosian' era。phyllo・silicate はケイ酸塩鉱物のこと)と名付けられており、この時代の環境は暖かくて湿気があり、今日でもその多くが残っている大スケールの粘土層ができた。

第2期は「セイーキアン時代」(theiikian)で、42億年前から38億年前までの時代である。この時代には火山爆発が火星全体で起き、そのために火星全体の気候が変化した。特に、大気中に放出された硫黄は水分に作用して酸性雨を作り出し、酸性雨が降った表面の岩石は元素組成が変化した。

最後の時代は最も長く続いている「シダリキアン時代」(siderikian。siderite は菱鉄鉱のこと)で、38億〜35億年前から現在まで続いている。この時代は水がほとんどなく、希薄な火星大気によってゆっくりとした風化作用が続いて岩石は変化していった。現在の火星が赤色をしているのはこのプロセスのためである。

この火星の時代の名称は論文の著者によって名付けられたもので、各時代に豊富だった鉱物の名称をギリシャ語で表したものである。生命を最も温存したと考えられるのはフィロージアン時代で、この時代は粘土層が湖と大洋の底に形成され、生命プロセスが始まる可能性がある湿った環境が作られていた。しかし、この粘土層は湖の底ではなく、地下に形成されたのかもしれず、この考察にはまだ疑問符が残る。

表面下の熱水活動、水を含んだ小惑星の衝突、そして火星の自然冷却でさえ、火星の表面ではなく表面下に粘土層が形成される原因となり得る。もしそうなら、火星表面環境は常に冷たく乾いたものだったのかもしれない。

いずれにしても、この水の時代の後、水は地下にしみ込むか宇宙空間に拡散するかして、火星表面から大きく消失した。こうして、局地的な一過性の水の現象以外、火星は現在の探査機で観測されるような乾燥した冷たい砂漠になったのである。火星に粘土層があるということは今回の調査で分かったことで、これによって過去の生命存在を調査する将来の火星着陸機の着陸サイトの候補地についての情報が与えられた。

もし生命が形成されていれば、この生化学進化は粘土物質の中で起きはずで、この意味で粘土層の地域の探索は魅力的である。さらに、火星の冷たい環境のために、ほとんどの生命分子の記録が現在まで保存されているかもしれないのである。

この論文は『サイエンス』誌の2006年4月20日号に掲載された。

画像:  マーズ・エクスプレス搭載のHRSC機器(ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum))によって得られた、火星モース谷領域の遠近法フォールスカラー画像。画像中に写っているローバーは合成。

ビクトリアへの移動進展

オポチュニティ ソル789〜797日ステータス

2006.4.23

Credit: NASA/JPL
ソル795日にナビゲーションカメラで撮影した画像。ビクトリア・クレーターに向かって移動しているオポチュニティは、このような露出層と砂のさざ波の上を走行している。
Credit: NASA/JPL
ソル791日にパノラマカメラで撮影した画像。オポチュニティが移動している地表には、このような露出層が散在している。

オポチュニティは元気で「ビクトリア・クレーター」への移動も進展している。オポチュニティはまだ「限られた活動期間」で、移動は1日おきにしかできない。先週末は停止して、ロボットアーム機器でエレボスクレーターとビクトリア・クレーターの間の露出層の特質を短時間で調査した。来週は「限られた活動期間」が終わって通常に戻るため、移動を毎日行う予定である。

ソル789日(2006年4月13日)
計画は約26メートル先の露出層までの移動だったが、スリップチェックのため約10メートル手前で停止。

ソル790日
ターゲットなし遠隔調査。

ソル791日
顕微画像撮影とブラッシングを実施。短時間のアルファ粒子X線分光計計測を試みたが、シーケンス・エラーのため失敗。

ソル792日
露出層の上と砂のさざ波をいくつか越えて約35メートル移動。

ソル793日
ターゲットなし遠隔調査。

ソル794日
ビクトリア・クレーターの方向へ約30メートル移動。

ソル795日
ターゲットなし遠隔調査。

ソル796日
「フォートレヴェンワース」ターゲットの走行前撮影。その後、最初と最後に砂のさざ波を越えながらトラフを約27メートル移動する計画。

ソル797日(2006年4月21日)
ターゲットなし遠隔調査と、パノラマカメラとミニ熱放射分光計で地表の系統的サーベイを実施。

ソル794日現在のトータル走行距離は7334.56メートルである。

新たな地点を調査

スピリット ソル812〜819日ステータス

2006.4.22

Credit: NASA/JPL
ソル814日にパノラマカメラで撮影した画像。スピリットはこの日、360度高解像度「マクマード・パノラマ」の撮影を開始した。
Credit: NASA/JPL
ソル812日に顕微画像撮影装置で撮影した画像。スピリットは冬を過ごすための太陽光を受けやすい斜面にいるが、この顕微画像は近隣の地表の拡大である。

スピリットは元気で、火星の冬の太陽光をたっぷり浴びている。今週のスピリットは、「マクマード・パノラマ」(「マクマード」は南極基地の名称)というニックネームのフルカラー高解像度360度パノラマの撮影を開始した。このパノラマ撮影集中活動は、スピリットの電力とデータ保存の限度のために数週間かかる。スピリットはさらに、「 モーソン モーソン(1882-1958):英国生まれのオーストラリアの南極探検家、地質学者。 」という土壌ターゲットの科学調査をアーム機器で行った。

この領域の全ての岩石ターゲットと土壌ターゲットには、南極探検基地と探検者の名前が付けられている。

ソル812日(2006年4月16日)
ミニ熱放射分光計によるターゲット遠隔調査と、攪拌されていない土壌の顕微画像撮影。

ソル813日
パノラマカメラでターゲット遠隔調査。

ソル814日
「マクマード・パノラマ」撮影開始。アルファ粒子X線分光計で「モーソン」土壌ターゲットを調査。

ソル815日
パノラマカメラとミニ熱放射分光計によるターゲット遠隔調査。

ソル816日
活動が中断される新コマンドを送信せずに、すでに取得済みのマスターシーケンスに従ってパノラマカメラ画像を撮影。

ソル817〜819日(2006年4月21〜23日)
計画は「マクマード・パノラマ」撮影の続行、「モーソン」土壌ターゲットの一晩かけたメスバウアー分光計計測、ターゲット遠隔調査。

ソル816日(2006年4月20日)現在のトータル走行距離は変化なく、6876メートルである。

ビクトリアに邁進

オポチュニティ ソル785〜790日ステータス

2006.4.21

Credit: NASA/JPL
ソル789日にナビゲーションカメラで撮影した画像。ビクトリア・クレーターの方向に移動しているオポチュニティは、このような露出層の散在している地表を走行している。
Credit: NASA/JPL
ソル787日にパノラマカメラで撮影した画像。露出層が散在した砂のうねるような波形状が写っている。目指しているビクトリア・クレーターまでは数ヶ月かかる見込みであるが、途上の砂丘領域はこのように露出層もあって、現在までのところ深い砂の領域ではないのが移動に幸いしている。

オポチュニティは、地球でのダウンリンクが遅すぎて翌日の走行計画が立てられない「限られた活動モード」にある。今週は3回の走行で83.2メートルを移動する計画が立てられた。全般的な移動方向は南東で、南にある大きな砂丘地域が避けられた。ソル788日現在のオポチュニティのビクトリア・クレーターからの距離は、1557メートルと推定されている。

ソル785日(2006年4月9日
南方向へ58.9メートル移動。移動後、パノラマカメラとナビゲーションカメラで走行方向の撮影。活動は、午後のマーズ・オデッセイとのリレー通信中の大気遠隔調査も行われた。

ソル786日
パノラマカメラによる地表の系統的サーベイ、マグネットのパノラマカメラ撮影、ナビゲーションカメラによる後方の撮影、ミニ熱放射分光計による空と地表の観測を2回。

ソル787日
走行前のパノラマカメラによる露出層の撮影後、7.5メートル移動して砂のさざ波の頂に乗る。走行後、午後のオデッセイ通過時に新地点の撮影と大気観測。

ソル788日
ナビゲーションカメラによる後方のモザイク画像撮影。パノラマカメラによる大気透明度チェックと系統的な地表サーベイ。午後は、ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。

ソル789日
16.8メートル移動。

ソル790日(2006年4月14日)
計画はターゲットなし遠隔調査。

ソル789日現在のトータル走行距離は7327.53メートルである。

冬を過ごす場所に到着

スピリット ソル803〜811日ステータス

2006.4.20

Credit: NASA/JPL
ソル807日にナビゲーションカメラで撮影した画像。スピリットはこの日、ナビゲーションカメラで360度全周のパノラマ画像を撮影した。この画像はその一つである。
Credit: NASA/JPL
ソル807日にパノラマカメラで撮影した画像。スピリットは火星の冬を過ごすために太陽光が良く当たる北向きの斜面に到達した。(スピリットがいるのは南半球のため、北向きの斜面が日光がよく当たる。)

スピリットは、10.8度北方向に傾いた斜面に到達し、比較的太陽光がよく得られる場所にいる。「マックールの丘」方向の進路を先週変更したスピリットは、「ローリッジ・ヘブン」という近隣領域の方向へ移動を開始し、週末にここに到着した。こうしてスピリットは太陽電池が太陽方向に向く良い斜面に到達することができ、火星1日あたりの発電量は50〜60ワット時増加した。この増加時間は、日中約1時間の遠隔科学調査ができるエネルギーに相当する。

スピリットはこれまでこの地点で、ナビゲーションカメラによる360度パノラマ画像撮影、パノラマカメラによる小さなパノラマ画像撮影、ミニ熱放射分光計によるターゲット観測を2回、パノラマカメラによる5枚のターゲット撮影を行った。さらに、ロボットアームの、顕微画像撮影装置、アルファ粒子X線分光計、メスバウアー分光計によるデータ収集も行われた。この領域の全ての岩石と土壌の非公式名は、南極調査基地と南極探検家の名前が使われている。

ソル803日(2006年4月6日)
「ローリッジ・ヘブン」の方向へ約9メートル移動して、小さな露出層の北に面した斜面の割れ目に接近。

ソル804日
バッテリー充電と大気遠隔調査。

ソル805日
太陽電池に、より多くの太陽光エネルギーを得るために、北に面した斜面にできるだけ接近する移動を実施。10メートルと少し進んだところで、10.8度北方向に傾いた暖かいスポットに到達して停止。

ソル806日
バッテリー充電。ソル805日に到着した新たな地点からパノラマカメラで周囲地表を撮影。

ソル807日
週末の移動で、火星の冬を過ごすのに安全と思われる場所に到達。太陽に対する姿勢のエラーを2週間ごとに修正する「良い姿勢活動」を完了。(次の「良い姿勢活動」を行うまでの2週間の姿勢変化はスピリットのコンピュータを使って監視されているが、この方法は時間と共にエラーが蓄積するのである。)ナビゲーションカメラとパノラマカメラで、現在位置周辺の、より解像度の高い画像も撮影。

ソル808日
「マランビオ」と「オーカダス」という岩石ターゲットのミニ熱放射分光計計測と、「マイトリ」というターゲットのパノラマカメラ画像撮影。

ソル809日
ソル769日から772日(2006年3月2日から5日)以来初めてロボットアームを伸ばして「ホームプレート」近隣の科学調査を実施。「ハレー」というターゲットの顕微画像を撮影し、一晩かけたアルファ粒子X線分光計計測を完了。「トロール」と「マーニー」のパノラマカメラ画像撮影。

ソル810〜811日(2006年4月13〜14日)
週末の計画は「ハレー」の調査続行としてメスバウアー分光計計測、それに「オーカダス」と「マランビオ」のパノラマカメラ画像撮影を含むターゲット遠隔調査。

ソル811日(2006年4月14日)現在のトータル走行距離は6876.18メートルである。

MROの火星カラー画像撮影装置の画像

2006.4.18

Image Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems
マーズ・レコネッサンス軌道船搭載の火星カラー画像撮影装置(MARCI)の赤色、緑色、青色の波長で撮影した「アルギュレ盆地」のカラー合成画像。マーズ・グローバル・サーベイヤーの広角カメラカラー合成画像は、緑色部分が赤色と青色を加えて作られた「フェイク」で、この点がマーズ・レコネッサンス軌道船のこの画像と異なっている。この画像はマーズ・グローバル・サーベイヤー画像と比べるとわずかに緑の色調になっているが、これはマーズ・グローバル・サーベイヤー画像で使われている緑色の推定強度が弱すぎることを示している(マーズ・レコネッサンス軌道船画像の緑色は、直接観測で得られたものである)。人間の目で見たときの色を再現した「自然色カラー」画像を得るにはさらにキャリブレーションが必要で、この画像は作り直されるかもしれない。

MROのあと2つのカメラによる初画像

2006.4.16

Image Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems

画像:  マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)によるフル解像度広角画像(左)とマーズ・レコネッサンス軌道船(MRO)による初のコンテクストカメラ画像(右)の比較。MGS画像はMROコンテクストカメラ画像撮影の約6.2時間後に撮影された。撮影時間はMGS画像が火星現地時間13時42分、MROコンテクストカメラ画像がほぼ7時32分である。

Image Credit: NASA/JPL/Malin Space Science Systems

画像:  マーズ・レコネッサンス軌道船(MRO)による初のコンテクストカメラのフル解像度画像(画像をクリックすると18MBのフル解像度画像をご覧になれます。容量が大きいのでご注意ください)。画像解像度はピクセルあたり87メートルで、これはMROが最終マッピング軌道に入ったときに得られる解像度より14.5倍低い。つまり、主ミッションで撮影されるコンテクストカメラ画像はピクセルあたり6メートルになるということである。

マーズ・レコネッサンス軌道船の3つの科学カメラのうちの2つで撮影した初の火星画像が発表された。この画像は、コンテクストカメラと火星カラー画像撮影装置のパフォーマンスを確認する初のテスト画像である。テスト画像は、今後数ヶ月かけて入る科学観測軌道より10倍近く遠方から撮影された。なお、3番目のカメラで撮影したテスト画像は先日発表された。

2つのカメラは期待通りかそれ以上のパフォーマンスを見せ、軌道が低くなったときの画像が待ち望まれている。テスト画像撮影は3月10日の火星到着から2週間後、「エアブレーキ」の開始前に撮影された。

探査機は今週、火星の大気上層部に接して空気抵抗によるブレーキをかけ、今後6ヶ月をかけて徐々に軌道を低くしていく。現在の探査機は火星周囲の非常に長いループ軌道を飛行しており、火星を一周するのに約35時間かかる。火星から最も遠い軌道位置は火星から4万3000kmである。4月12日には、探査機が火星から最も遠い地点にあるときに中程度の大きさのスラスター・エンジン燃焼が短時間行われ、探査機が火星表面から107km以内を飛行して大気によるエアブレーキが行えるようにした。このような火星大気上層部を使ったエアブレーキは数百回行われ、軌道遠点が徐々に下げられて、最終的には2時間の円に近い軌道が達成される。

マーズ・レコネッサンス軌道船は科学調査軌道に入ると、6つの科学機器による系統的な火星調査を始める。火星カラー画像撮影装置は火星全体の大気と表面を毎日撮影して、大気中の雲、風に吹かれて堆積したチリ、極冠など、変化する形状を監視する。コンテクストカメラの画像はピクセルあたり6メートルで、バスケットボールコートのサイズという小さな形状まで確認することができ、幅30kmの長方形部分をカバーする。コンテクストカメラ画像は、これまで火星軌道から表面を撮影した最も解像度の高いものになる高解像度科学カメラ画像の位置がどこなのかを示してくれる。鉱物確認分光画像撮影装置はより広域を撮影することができ、広い領域をカバーして、新たにできたガリーのような小さなスケールの変化を見ることができる。

金星の初画像

2006.4.15

Image Credit: ESA/INAF-IASF, Rome, Italy, and Observatoire de Paris, France
欧州宇宙機関のビーナス・エクスプレスは、温室効果の惑星の南極の初画像を20万6452kmの距離から撮影して地球に送ってきた。この画像には、驚くほどクリアーな構造と期待以上の詳細部分が写っている。画像は、2006年4月11日にマーズ・エクスプレスが金星に到着し、4月12日に軌道に入ったときに撮影された。
2006年4月12日にビーナス・エクスプレスが紫外線で撮影した金星南極のフォールスカラー画像。
Image Credit: ESA/MPS, Katlenburg-Lindau, Germany

いくつかの機器のスイッチは、金星軌道に入った4月12日にすぐ入れられ、金星監視カメラ(VMC)と可視光及び赤外線熱分光撮影装置(VIRTIS)で、金星南半球の画像が宇宙探査の歴史で初めて撮影された。

画像には、南極のほとんど真上の上空に暗色の渦があるのが写っており、これは特に興味が持たれている。この渦形状の存在は以前から思われていたが、その構造が北極上空の似たような雲の構造に対応していることは現在まで未確認のままだった。このように、ビーナス・エクスプレスは金星到着わずか1日後にすでに金星の熱く動的な環境を目の当たりにしたのである。今後探査機が金星にもっと接近して解像度がこの100倍以上良くなれば、これまでに見たことのない詳細部分が見えてきて、これらの螺旋構造が非常に急速に進化しているのが確認できるはずである。

この初期画像は金星から20万6452kmという非常に遠方から撮影した低解像度画像だが、それでも可視光及び赤外線熱分光撮影装置(VIRTIS)画像は驚くほどクリアーで詳細なもので、学者の目を引いている。

2006年4月12日にビーナス・エクスプレス搭載の金星監視カメラ(VMC)で撮影した金星南極の紫外線画像。
Image Credit: ESA/MPS, Katlenburg-Lindau, Germany
フォールスカラーVIRTIS合成画像に写っているのは、左側が金星の昼の側、右側が夜の側で、解像度はピクセルあたり50kmである。昼の側の画像は、金星表面から約65kmという深い位置の雲頂部分で反射した太陽光が写っている。

赤っぽいフォールスカラーで示されている夜側の画像は1.7ミクロン波長の赤外線フィルターで撮影したもので、高度55km付近の大気低層部の動的な雲の螺旋構造が写っている。暗色部分は雲が厚い部分、明色部分は薄い雲に対応しており、大気下層部からの熱放射が撮影できることを示している。

ビーナス・エクスプレスは2006年4月11日にメインエンジンを燃焼して金星軌道に入り、現在は最遠部分が南極の下35万kmという9日の軌道にある。探査機はこの後、北極上空250kmという金星に最も近い軌道部分を通過する。

初期軌道のビーナス・エクスプレスは、近点に達するまでデータを収集する機会があと5回ある。近点到達前には金星全体像が画像全体におさまる撮影ができるため、これらの観測機会は素晴らしいものになる。2006年6月4日に始まる通常ミッションでは金星までの距離が近くなるため、このような金星全体像が1つの画像におさまる機会は今回だけである。

金星監視カメラ(VMC)と可視光及び赤外線熱分光撮影装置(VIRTIS)に加え、ビーナス・エクスプレス磁気計(MAG)も初期テストのためにスイッチが入れられ、正常に機能することが確認された。宇宙プラズマ及びエネルギッシュ原子分析装置(ASPERA)と共に、これら2つの機器は、磁場がない金星の乱されていない太陽風と、大気が逃げるプロセスについての情報も収集する。

今後16周回の間に、遠点を徐々に引き下げるための一連のエンジン燃焼とスラスター燃焼が行われ、探査機は5月7日に金星から6万6000kmから250kmの高度で極を通る24時間の最終軌道に入る。

画像:  2006年4月12日にビーナス・エクスプレス搭載の可視光及び赤外線熱分光撮影装置(VIRTIS)で撮影した金星南極のフォールスカラー合成画像。

月の氷を探索する探査機

2006.4.14

Image Credit: NASA
NASAは、月の南極の氷を探す新しい探査機を打ち上げることを公表した。「月クレーター水検出衛星」(LCROSS)は、ルナ・レコネッサンス軌道船の二次ペイロードとして同じロケットで2008年10月に打ち上げられる。LCROSSはルナ・レコネッサンス軌道船とは別に月に接近し、月の南極に接近するとロケット上段の「打ち上げ上段」(EDUS)と探査機の「シェパーディング探査機」(S-S/C)の2つに分離され、前者は月の南極に衝突し、探査機は衝突で噴出した物質の中を飛行して水の痕跡を分析する。このミッションは、永久に太陽光の当たらない月の南極のクレーターに水が存在しているかどうかを確定する助けになる。もしここにかなりの量の水の氷があれば、将来月を訪れる宇宙飛行士がこの水からロケット燃料を作り出すことができる。

NASAは人間を再び月に送り込むために、2008年からたぶん2016年まで様々な月ロボットミッションを行い、月面の調査とマッピングをする。この事前調査で月面着陸サイトの決定と、人間による月面長期探査のために使える酸素、水素、金属のような資源があるかどうかが調査される。月にリサーチステーションを建設することは、火星とそれより以遠に人間の探査を広げるための良い経験になる。人間の継続滞在による月探査科学プログラムは、月の地質、太陽系の歴史、物理、それに地球より弱い重力に対する生物の反応の基本的調査をする機会を与えてくれる。