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フェニックス・マーズランダー

2006.5.3

Image Credit:
NASAの次の火星ミッションのフェニックス・マーズランダーは2007年8月に打ち上げを予定しているが、現在は準備の新段階に入り、フライトコンピュータ、電源システム、科学機器のような多くのサブシステムの組み込みをしている。もし全てがうまくいけば、フェニックスは火星の北極氷冠の近くに着陸し、氷の土壌をすくい上げて生命に関する情報を含む分析をする。フェニックスには約2メートルの長さのロボットアームがあり土壌は約50センチの深さのものまですくい上げることができる。すくい上げられた土壌はフェニックスのデッキに運ばれ、氷などの物質の物理特性と化学特性の分析を行う。さらにステレオカメラによる撮影で、着陸サイトの調査と、アームの位置がどこにあるかについての情報を得る。このミッションはNASAのマーズスカウト・プログラムの初のもので、プログラムは現在、2011年スカウトミッションの実施申請をしている。

活動800日を記録

オポチュニティ ソル796〜803日ステータス

2006.5.2

Credit: NASA/JPL
ソル803日にナビゲーションカメラで撮影した画像。ビクトリア・クレーターに向けて進んでいるオポチュニティは、ここにある露出層の調査をしようとしている。
Credit: NASA/JPL
ソル803日にパノラマカメラで撮影した画像。現在のオポチュニティ周囲には、このように露出層が多くある。

元気なオポチュニティの「ビクトリア・クレーター」への進行は順調で、あと1400メートルを切った。先週末は数日を使ってロボットアームのセッティングを行い、調査に適した露出層をアーム作業範囲内に入れた。オポチュニティは今週も進行を続ける。

ソル796日(2006年4月20日)
移動は2メートルで終了。走行前後の画像を撮影。

ソル797日
パノラマカメラとミニ熱放射分光計による地表の調査と大気計測を含むターゲットなし遠隔調査。

ソル798日
「ジャンクション・シティ」「チェトパ」「コフィヴィル」「サリーナ」ターゲットのパノラマカメラ画像撮影と、「ジャンクション・シティ」「サリーナ」のミニ熱放射分光計計測を含むターゲット遠隔調査を完了。

ソル799日
この日はよく移動した日で、約44メートルを前進。

ソル800日(2006年4月24日)
800日おめでとう。この日は小さな砂のさざ波をいくつか越えながら露出層の上を33.5メートル移動。

ソル801日
走行前撮影の後、2つのトラフと2つのさざ波を越えて28.3メートルを移動。滑りやすい領域の過度の車輪回転を防ぐためにスリップチェックを使用。

ソル802日
週末のロボットアームによる調査のため、13.8メートル移動して露出層に接近。

ソル803日
アームの作業範囲内に入った露出層は砕けておりターゲットとして適していなかったため、調査に向いたターゲットの方向に8メートルという短距離の移動を計画。この移動に関するデータは4月28日(金)早くに地球で受信された。

ソル802日現在のトータル走行距離は7456.56メートルである。

冬を過ごす場所

2006.4.30.

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/USGS/Cornell

スピリットは、冬になる前に「コロンビアの丘」の北に面した斜面にたどり着いて停止した。この位置は、これから到来する冬の季節の間に太陽エネルギーを良好に得られ、NASAのオデッセイ軌道船との通信能力が最大限になる場所である。

今後数週間の最優先科学活動は、13枚全てのフィルターを使った360度の詳細なパノラマ画像撮影、表面と表面下の土壌の特質調査、大気変化の監視である。計画された表面下土壌調査は、このマーズ・エクスプロレーション・ローバー・ミッションで初のものになる。この調査では、考古学者がブラシで土壌を払いのけて遺跡を調査するような方法で、岩石剥離器のブラシで土壌を慎重に払いのけ、アーム機器を使って各深さでの鉱物化学特質が計測され、物質の物理特性(粒子サイズ、テクスチャー、固さのような)の査定が行われる。特に興味深いのは、硫酸塩などの鉱物が水で堆積したということを示唆しているのかもしれない、堆積垂直方向の(深さによる)土壌特質の変化の調査である。

パノラマ画像は、周囲の岩石と土壌の特質と起源についての重要な情報を与えてくれる。さらに、ミニ熱放射分光計を使って周囲領域の鉱物調査、それに、強風による表面変化の調査も行われる。8月の冬至以後、エネルギーレベルによっては、故障している右前輪の向きを変えるコマンドを送信してスピリットの向きを変え、別なターゲットにアームが届くようにされるかもしれない。冬が終わって太陽エネルギーレベルが上がると、スピリットは冬を過ごしたこの場所から離れ、「コロンビアの丘」の調査を続ける。

この画像は、ソル807日(2006年4月11日)に撮影したナビゲーションカメラ画像のモザイクである。東からこちらに続いているのはスピリットの車輪跡で、途中で前輪で掘り返した浅い溝も写っている。画像中央の地平線には「マックールの丘」が見える。この画像は円筒図法で、画像同士の継ぎ目は幾何学的に修正されている。

土星に浮かぶ月

2006.4.29

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
土星の地平線方向を撮影した画像。黒く写っている月はディオネとヤヌスである。ディオネ(直径1126km)表面にはクレーターがいくつか見え、ヤヌス(直径181km)は露出時間中に動いたためにわずかにボケている。リングは縁から見た形になっている。

この画像は、2006年3月10日に土星から約290万kmの距離から750ナノメートルを中心とした赤外線波長に敏感なフィルターを使った望遠カメラで撮影された。画像解像度はピクセルあたり17kmである。

分裂した彗星

2006.4.28

Image Credit: ESA
Image Credit: ESA
Image Credit: ESA

左側画像:  欧州宇宙機関のベリー・ラージ・テレスコープの4つのフィルターで撮影した「73P/シュヴァスマン−ヴァクマン3彗星」の破片B周囲にある破壊した複数の破片。星が線になっているのは望遠鏡が彗星を追尾しているためで、この筋は、フィルターを使った時間差が色の差となって現れているのが分かる。北は上、東は左である。

中央画像: 3つのフィルター(青色、緑色、赤色)で撮影した破片B周囲の分裂した複数の破片の画像。望遠鏡が彗星を追尾しているため、この画像でも星が筋になっている。この画像はフィルター数が少ないため、左側の画像とは色が異なっている。

右側画像: 破片Bと、それに関連したミニ彗星の画像。これは中央画像のデジタル高画質化ズーム画像で、小さな破片が見やすくなっている。矢印で示されているのは確認できる破片で、最上部の主破片、そのすぐ下の分裂したばかりの2つの主破片、これらよりずっと暗い5つの破片が示されている。

4月23日の夜、欧州宇宙機関のベリー・ラージ・テレスコープが、数日前に分裂した73P/シュヴァスマン−ヴァクマン3彗星のB破片を観測した。驚いたことに、破片Bがもう一度分裂して5つのミニ彗星になっているのが画像で確認された。このように、この彗星は分裂する運命にあるように見えるが、いつまでそれが続くのかは分からない。

「73P/シュヴァスマン−ヴァクマン3彗星」は劇的な過去のある天体で、太陽周囲の非常に細長い軌道を5.4年の周期で周回していて、太陽に最も近い軌道位置は地球軌道より内側で、最も遠い位置は木星軌道にまで達する。1995年に最も地球に接近したときの彗星は、全く予想外に数千倍の明るさになった。1996年の欧州宇宙機関のニュー・テクノロジー望遠鏡(NTT)とラシラ天文台の3.6メートル望遠鏡による観測によると、この明るさは彗星が3つに分裂したためということが分かった。その後、1996年12月にはさらに2つの破片が見つかった。この彗星が最近もどってきたのは2001年で、このときは、この5つの破片のうちの、破片C(最も大きな破片)、B、Eの3つしか観測されなかった。このときの接近では新たな破片はできていなかったのである。

しかし今回は前回とちがい、3月初旬に7つの破片が観測され、最も明るい破片(破片C)は12等級になっていた。そして3月中にも、6つの新たな破片が見つかったのである。

4月初旬には破片Bがアウトバーストを起こして10倍明るくなり、4月7日には新たな破片が6つ発見され、この彗星が大きく分裂していることが確認された。4月12日には、破片Bが最も明るい破片Cと同じぐらいの明るさになり、9等級(人間の目で見える明るさの16分の1)ほどになった。そして、この破片Bはさらに分裂したように見え、破片の総数は40に近づいている。破片のいくつかは非常に小さいと考えられ、形も不規則で短寿命の巨礫(れき)ほどの大きさになっていると考えられる。

新たな観測で分かったことは、この新しい小さな破片がまたさらに分裂したということである。この画像が明らかにしていることは、破片Bの下に、2つに分裂した小さな破片があることで、慎重な分析で、さらに小さな5つの破片がほとんど平行に並んでいるということも分かった。このように、この画像だけでも少なくとも7つの破片が確認でき、この彗星は多くのミニ彗星を生み出しているということになる。

このプロセスはこのまま続くのだろうか。さらに多くの破片ができて、彗星は最終的に破壊されてしまうのだろうか。5月11日から14日に地球に最も接近したときの彗星の破片はどれぐらいの明るさになるのだろうか。そして6月7日あたりに彗星が太陽に最も接近するまでに、どれぐらいの数の新たな破片ができるのだろうか。

破片Cが地球に最接近するのは5月11日で、このときの破片Cは1200万kmまで地球に接近する。破片Bの方は、5月14日に1000万kmまで地球に接近し、20年間で最も地球に接近した彗星になる。(百武彗星でも1500万kmである。)しかし、それでもこの距離は地球と月の距離の26倍で、地球に危害が及ぶことはない。

このままでいけば、最も地球に接近したときの破片Bは、肉眼でも見える明るさになり、双眼鏡ならはっきりと見える。もし破片Bがアウトバーストを起こせば、それは夜空で素晴らしい光景となが、そうでなければ、破片Bはそのまま暗くなって見えなくなってしまう。しかし、最も大きな破片Cはまだ見えるはずで、肉眼でも見えるかもしれない。

欧州宇宙機関は、彗星が最も明るくなる5月終わりに、最も観測しやすいチリから詳細観測を行う予定である。この観測は価値ある情報をになり、特に彗星分裂プロセスは、彗星核の中に埋まっている全ての原始物質を明らかにしてくれる。これは、2005年7月4日にディープ・インパクトがテンペル1彗星に衝突しているときの欧州宇宙機関の望遠鏡による集中観測を補完するものになる。

73P/シュヴァスマン−ヴァクマン3彗星が地球に接近

2006.4.27

この彗星は76年前に発見され、その後1955年には3つに分裂し、この結果1000倍の明るさに輝いた。この彗星は現在では19個の破片に分裂しており、最も明るい破片は「C」で、地球から0.0735天文単位(1100万km)の距離を通過するが、地球に衝突することはない。あと2つの大きな破片はもう少し地球に近い0.0515天文単位と0.0505天文単位の距離を通過する。この彗星の破片の地球近傍フライバイは5月17日まで続く。この彗星通過の模様は、Slooh 望遠鏡の映像が http://www.slooh.com/でリアルタイムで中継される。

スペースカレンダー 2006年11月

2006.4.27

スペースカレンダー 2006年11月
スペースカレンダー 2006年5月

重力波の検出

2006.4.26

Image Credit: NASA
アインシュタインは1916年に発表した一般相対性理論で、質量は重力波を放射するはずだと予言したが、それはまだ直接観測されていない。重力波は間接的に検出されたことはあり、それは互いに廻り合っている中性子星に対する重力波の影響が1974年に検出されたときである。この検出をした Russell Hulse と Joseph H. Taylor Jr. は1993年にノーベル物理学賞を受賞した。

音が伝わるには真空ではだめで、空気や水のような媒介物質が必要だが、重力波も無の中を伝わることはできない。アインシュタインの考えによると、重力波を伝える媒介は「時空」である。アインシュタインの理論によると、2つの星が衝突したときのような質量の変化によって、重力波、つまり時空のさざ波が作り出される。

しかし、重力波は非常に弱く、最も強い重力波でも、原子核の大きさの1000分の1以下の揺らぎを作り出すにすぎない。このような重力波を検出するには非常に高度な技術が必要である。

この弱い重力波検出の挑戦はレーザー干渉計重力波天文台(LIGO)で行われており、300人以上の科学者が協力して活動が続けられている。、レーザー干渉計重力波天文台は3200km近く離れている2つの施設で構成されている。その1つはワシントン州ハンフォードにあり、もう1つはルイジアナ州リビングストンにある。検出器はコンクリートに埋め込まれた直径1メートル20センチ、長さ4kmの真空パイプを2本、巨大なL字形にしたものである。各パイプの終端にはミラーがあり、超安定レーザー光線がパイプの中を通り、ミラーに反射している。重力波が通過すると片方のパイプは伸び、もう片方はつぶされて、2つのレーザーの通る道筋の距離がわずかにちがってくるのを検出しようとしているのである。

この距離の差は、2つの腕が交差する位置でのレーザーの「干渉」で計測される。これは、互いに直角方向に走行する2台のクルマにたとえることができる。2台のクルマは同じ距離を同じ速度で走行しており、このため常に衝突するが、走行距離に変化ができると衝突しなくなるのである。レーザー干渉計重力波天文台では、このような「衝突ミス」を検出しようとしているのである。

技術的限界のため、レーザー干渉計重力波天文台で検出できる重力波は、天の川銀河中の超新星爆発や、天の川銀河と遠方銀河中で互いに高速で廻り合っている中性子星のような強力な重力波源からのある特定の波長の重力波だけである。

検出可能な観測源をさらに増やすために、NASAと欧州宇宙機関はレーザー干渉計重力波天文台の後継になるレーザー干渉計宇宙アンテナ(LISA)の計画をすでに立てている。レーザー干渉計宇宙アンテナはレーザー干渉計重力波天文台とコンセプトが似ているが、レーザーが反射するのは互いに480万km離れて地球の後ろの太陽周回軌道を進む3つの衛星である。この結果、レーザー干渉計宇宙アンテナが検出できるのはレーザー干渉計重力波天文台よりも低い波長で、中性子星とブラックホールの衝突や、ブラックホール同士の衝突で放出されるような波長の重力波である。レーザー干渉計宇宙アンテナの打ち上げは2015年に予定されている。

しかし、このような高感度のレーザー干渉計宇宙アンテナでも重力波は検出できないかもしれない。というのは、最近の観測で宇宙膨張が加速していることが分かったからである。1つの説明は、一般相対性理論を修正する必要があるということである。アインシュタインはほとんど正しかったのだが、ある部分では物事の働きが異なっているのかもしれないのである。