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この2人の物理学者が2007年4月25日にオンラインの「フィジカル・レビューD」に発表した論文によると、加速しながら膨張する宇宙の中で、物質は消えずに残る。つまり、新たに発見されたダーク・エネルギーが宇宙を外に押して拡散させるために、物質とその分身である放射の比率は今後もそのままであり続けるというのである。
超新星爆発の後退速度、距離、年齢の計測。これによって宇宙の膨張が加速しているという初の直接的証拠が得られた。 |
この見方は、宇宙論学者のこれまでの一般通念とは相容れない。今日の宇宙には放射よりも物質の方が多いが、初期の宇宙では粒子崩壊のために放射が物質を上回っていた時代があった。宇宙の遠い未来の展望で一般的に受け入れられている見方は、通常の物質粒子(特に陽子と中性子)は数兆年の数兆倍の時間経過のうちに徐々に崩壊して放射になり、宇宙は再び物質より放射の方が多くなる。こうして宇宙は生命に必要な物質構造がないものになってしまうのである。これが宇宙の運命のこれまでの見方だった。
ダーク・エネルギーが認識されたのは10年前にすぎない。それ以前、Krauss とその共同研究者は、間接的証拠に基づいてダーク・エネルギーの存在について議論していたが、1998年に超新星の大きなサーベイが行われて、宇宙の膨張が加速しているという初の直接的証拠が見つかった。ダーク・エネルギーは反重力として働き、このために大スケールでの宇宙膨張率が増大しているのである。ダーク・エネルギーは空間自体と関連しているため、「真空のエネルギー」とも呼ばれている。その後多くの追観測が行われて、宇宙の全てのエネルギーの約70パーセントがダーク・エネルギーで占められているという結論が支持されるに至った。
「ダーク・エネルギーの発見により全てが変わったが、変わったのは「過去」よりも「未来」の方が大きい。それは生命にとって考え得る最悪のものだ。」ダーク・エネルギーの影響をこの数年間研究してきた Krauss はこう語った。永遠に膨張する宇宙には、生命が永遠に存続できる可能性は少なくとも1つはあるが、それは「真空のエネルギー」に支配された宇宙ではない。Krauss とその共同研究者の Glenn Starkman はこう結論づけた。
我々の局所銀河グループの運動にダーク・エネルギーが及ぼす影響をモデル化したコンピュータ・シュミレーションの一画像。これはワシントン大学の Fabio Governato 率いる学者チームによって作製された。 |
このプロセスは、未来の知的生命が生命を維持できる情報とエネルギー量を限りあるものにする。「意識」が物理現象だとすれば、このことは生命自体が永遠ではないということを暗示している。Krauss と Starkman はこう議論する。
「我々の現在までの研究ではこのプロセスは変わっていないが、物質にとって少し有利、放射には不利になっている。」Scherrer はこう語った。
Krauss と Scherre はその論文で、通常の物質とダークマターが崩壊して放射になる方法の全てを分析した。(ダークマターはダーク・エネルギーとはちがうもので、近隣銀河の中の通常の物質に対する重力の影響によってだけでしか検出できない物質の未知の形態である。この点で、ダークマターが安定しているのか、通常物質のように最終的に崩壊してしまうのか、何も分かっていない。)この分析で様々な崩壊プロセスに制約があることが分かり、このことを考えると、どの崩壊プロセスであっても、現在存在している物質密度を超えるような放射密度は作り出せないという結論になった。これは常識では信じられないことである。というのは、物質がエネルギーに変わるとき、それはアインシュタインの方程式(E=mc2)に従うため、おびただしいエネルギーを作り出すからである。
「驚くべきことは、ダーク・エネルギーで作り出されるのと同じ速さで放射がが消えるということだ。」Krauss はこう語った。
このような放射消失の理由は宇宙の膨張と関係がある。膨張宇宙が放射エネルギーの密度を減少させる方法は2つある。1つ目は個々の光子の間隔が大きくなるということ、2つ目は個々の光子によって運ばれるエネルギー量が少なくなるということである。光子エネルギーは全て、その電磁場の中に存在している。波長が短くなればなるほど、そして周波数が高くなればなるほど、そこに含まれるエネルギーは大きくなる。空間自体が膨張しているため、全ての光子の波長は引き伸ばされ、その周波数も低くなる。このことが意味しているのは、個々の光子が持っているエネルギー量も減少するということである。この2つの効果を合わせると、放射のエネルギー密度は劇的に減少するということになるのである。
これとは逆に陽子と中性子には間隔が大きくなる効果しか及ばず、これらの粒子が持っているほとんどのエネルギーはその質量の中に保存されていて、光子のように空間膨張の影響は受けない。加速している宇宙では、物質が放射を上回るにはこれだけで十分なのである。
Translation: Mori Kanai
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