間もなく打ち上げが予定されているスペースシャトル「エンデバー」のキャビンに原因不明の空気漏れが発見され、現在修理作業が続けられている。これまでのところ2つの減圧バルブの1つに問題があることが分かっている。この減圧バルブは、クルー・キャビンが圧力過多になるのを避けるためのものである。NASAは漏れの原因を突き止め、問題解決ができるという自信があるように見える。エンデバーの打ち上げは1日延期されて8月9日午前7時36分とされている。エンデバーは「STS−118ミッション」で、国際宇宙ステーションを訪れる22回目の飛行になる。エンデバーはすでに、燃料、水、それにステーションのバックボーンの1つになるトラスの搭載も終了している。
2007.8.7
Image Credit: NASA |
NASAのフェニックス・マーズランダーは日本時間2007年8月4日18時26分にケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ、火星の水、それに生命の存在の調査を行うミッションを開始した。全てがうまくいけば、フェニックスは2008年5月25日に火星の極地域(地球でいえばアラスカ北部に相当する緯度)に着陸する。
フェニックスは打ち上げ後90分で3段目のロケットを切り離して火星へ向かう軌道に入り、探査機との通信は同日20時02分に確立された。
フェニックス・プロジェクト・マネージャーのベリー・ゴールドスタインは打ち上げに大変満足な様子で「フェニックスの軌道はまだ詳細な評価が必要だが、少なくとも期待していた火星への軌道にあることは確かで、わくわくしている」と語った。
次の行動は「テスト」と「待ち」で、フェニックスは今後9ヶ月間にわたって地球から火星への距離、6億7900万kmを飛行して2008年5月25日に火星の大気圏に突入する。
2007.8.3
スピリットは、岩石破片の集合「イノセント・バイスタンダー」へ移動した。このターゲットの名称は、スピリットが別な岩石の「バージニア・ベル」ターゲットに接近しているときに偶然その上を通って発見したためにこう呼ばれるようになった。この走行の目的は、「バージニア・ベル」のチリを車輪で払って岩石表面を露出させて調査するためだった。
「イノセント・バイスタンダー」は火山ガスの噴気孔の中、あるいは温泉の中で作られたのかもしれず、これは思いがけない発見だった。噴気孔は蒸気と火山ガスを放出する孔である。火山ガスは岩石の中をしみ通って放出され、このような岩石は二酸化珪素が豊富になる。もしイノセント・バイスタンダーが温泉の中でできたとすると、物質が水の中で沈殿し、そこの水がなくなって沈殿物が出てきたもので、これは二酸化珪素の豊富な「湯ノ華」なのかもしれない。
毎日の活動は、パノラマカメラとミニ熱放射分光計による大気と地表の調査、スピリットの高利得アンテナを使って午前中行われる地球への直接アップリンク、マーズ・オデッセイを介して夕方行われるUHF波長でのダウンリンクである。以下はこれ以外に行った活動である。
ソル1247日(2007年7月6日)
パノラマカメラによる大気チリの計測。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。ロボットアームをしまって「イノセント・バイスタンダー」へ移動。途中、走行中間撮影として13枚全てのフィルターを使った調査範囲のフルカラー・パノラマカメラ画像撮影と危険防止カメラ画像撮影。オデッセイへのデータ送信後、再度大気チリの計測、ナビゲーションカメラによる太陽の撮影。
ソル1248日
午前中、パノラマカメラによる大気チリの計測と地平線のサーベイ、マストのチリの調査、パノラマカメラによる空のサムネイル画像撮影。その後、大気チリの計測続行。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。ミニ熱放射分光計のキャリブレーション完了と同機器による空と地表の調査。太陽高度が高いときの、パノラマカメラによるサーベイ。オデッセイとの通信後、パノラマカメラによる大気チリの計測。
ソル1249日
午前中、パノラマカメラによる大気チリの計測、塵旋風の探索、ナビゲーションカメラによる塵旋風探索のムービー撮影。その後、パノラマカメラによる大気チリの計測を続行。ミニ熱放射分光計による空と地表のスキャン。オデッセイへのアップリンク後、パノラマカメラによる大気透明度の調査を続行。
ソル1250日
午前中、パノラマカメラによる大気透明度の調査と、ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。その後、ミニ熱放射分光計内部に溜まったチリの経時変化の調査。イノセント・バイスタンダーに接近して危険防止カメラによる走行後撮影と、ナビゲーションカメラによる360度パノラマ画像撮影。パノラマカメラによる大気透明度の調査の続行。ミニ熱放射分光計による空と地表のスキャン。オデッセイとの通信後、ナビゲーションカメラによる太陽の撮影と、パノラマカメラによる大気チリの計測を再度実施。
ソル1251日
電源投入後、ナビゲーションカメラによる太陽の撮影、パノラマカメラによる大気透明度の計測、パノラマカメラによる砕屑(さいせつ)岩のサーベイ完了、ミニ熱放射分光計による空と地表のサーベイ。パノラマカメラによる大気チリの計測と周囲のスキャンの継続。次にアームをしまってイノセント・バイスタンダーの2x1x7の顕微モザイク画像撮影。アルファ粒子X線分光計をイノセント・バイスタンダーに配置。太陽高度が高いときの、パノラマカメラによるサーベイを完了。大気チリの監視と周囲のサーベイを続行。パノラマカメラによる空のサムネイル画像撮影。パノラマカメラによる遅い時間の大気チリの透明度計測。ミニ熱放射分光計によるキャリブレーション・ターゲットのスキャンと空と地表の調査。次に短時間電源を切り、火星現地時間午後11時10分に起きて12時間近くのアルファ粒子X線分光計計測を開始。
ソル1252日(2007年7月12日)
予定は、太陽電池起動後、パノラマカメラによる大気透明度の調査、ナビゲーションカメラによる太陽撮影、ミニ熱放射分光計による空と地表のサーベイ。
ソル1250日(2007年7月10日)現在のトータル走行距離は7キロ153メートルである。
2007.7.27
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画像: チリ嵐発生前後に同じ方向を撮影した画像。左の画像はチリ嵐発生前で、遠方の丘の輪郭と斜面の模様がよく分かる。右の画像はチリ嵐発生後で、同じ丘はぼやけて見えて斜面の模様もはっきりしない。2つの画像の空を比べると、チリ嵐発生後の方がやや赤くなっている。どちらの画像もパノラマカメラで撮影したもので、フィルターは601ナノメートル、530ナノメートル、480ナノメートル、色の調整はしていない。(m.kanai) |
スピリットはこの季節最初の大きなチリ嵐と戦っている。タウ(大気の不透明度から得られた大気中のチリの量)は飛躍的に上昇し、これに呼応してスピリットの電力も下がっている。
週の初めのタウは1.076で、この値は直接スピリットに届く太陽光が34パーセントということで、750ワット時の発電量に匹敵する。「1ワット時」とは、1ワットの電力を1時間保っておくエネルギー量のことである。直射日光はソル1245日(2007年7月4日)にはわずか8.7パーセントにまで減少し、エネルギーは490ワット時になった。エネルギーがそれほど減少していないのは、直射日光ではなく散乱光がかなりあるためである。
嵐の影響は、数回の小さな「チリ吹き払い現象」と「汚れ現象」があり、太陽電池板のチリが吹き払われたり、その逆にチリが蓄積したりしたということである。これら2つの現象は相反するものだが、トータルとしては吹き払いよりも蓄積したチリの方がわずかに多くなった。
もしこのチリ嵐の最中に人間が火星面に立っていたら、空は地球のどんより曇った日のようで、大気はチリでいくらかかすんだように見えるはずである。見える風景はいつもより暗いということがはっきり分かり、影は輪郭が晴れ上がっている日のようにははっきりとせず、少しぼやけたグレーになっているはずである。
電力レベルは低いのだが(そして活動計画ではさらに控えめな電力を前提としているが)、それでもスピリットは「アイリーン・ディーン」というニックネームの二酸化珪素の豊富な車輪跡の調査を続け、顕微画像の再撮影(以前撮影した画像はピントがずれていた)、メスバウアー分光計計測、アルファ粒子X線分光計計測を実施した。
スピリットは健康で、次の行き先は「イノセント・バイスタンダー」というターゲットである。
ソル1240日(2007年6月29日)
パノラマカメラを使った大気中のチリの調査。パノラマカメラで赤道東方向、北方向、西方向の測光データを収集。キャリブレーション・ターゲットのパノラマカメラ画像撮影。パノラマカメラによる大気チリの計測を再度実施。パノラマカメラ・サムネイル画像撮影。赤道の大気状態のスキャンとキャリブレーション・ターゲットの撮影を再度実施。
ソル1241日
前日と同じ活動。
ソル1242日
前日と同じ活動。
ソル1243日
パノラマカメラを使った大気中のチリの調査。ミニ熱放射分光計内に溜まったチリの状況変化のチェック。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。パノラマカメラによる空のサムネイル画像撮影。1日の異なる時間での変化を見るため、大気不透明度計測による大気中のチリの調査を再度実施。ミニ熱放射分光計による異なる高さの空と地表の調査。太陽高度が低いときの空のパノラマカメラ・サーベイ。
ソル1244日
太陽電池起動後、パノラマカメラによる空と地平線のサーベイ。ナビゲーションカメラによる塵旋風探索ムービー撮影。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。パノラマカメラによる大気透明度の調査。ミニ熱放射分光計内に溜まったチリの状況変化のチェック。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査を再度実施。アイリーン・ディーンの2x1x7のステレオ顕微画像撮影。科学機器をメスバウアー分光計に替えてアイリーン・ディーンの調査。13枚全てのフィルターを使った「ソーラク」というターゲットのフルカラー・パノラマカメラ画像撮影。「エルドラド砂丘」のパノラマカメラ画像撮影。パノラマカメラによる大気透明度の調査を再び実施。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。「ソーラク」と「パルソン2」のミニ熱放射分光計計測。パノラマカメラによる光度測定。パノラマカメラによる大気透明度の調査を再度実施。ナビゲーションカメラによる太陽の撮影。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。パノラマカメラによる光度測定と大気透明度の調査。ナビゲーションカメラで太陽のモザイク画像撮影。
ソル1245日
太陽電池起動後、パノラマカメラによる大気透明度調査と光度測定。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。パノラマカメラによる空のサムネイル画像撮影。パノラマカメラによる大気透明度の調査。ミニ熱放射分光計内に溜まったチリの状況変化のチェック。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。アイリーン・ディーンの継続調査のため、メスバウアー分光計を再び起動。13枚全てのフィルターを使った「パルソン2」のフルカラー・パノラマカメラ画像撮影。「ソラパス」と「マニタリア」というターゲットのミニ熱放射分光計計測。1日の異なる時間の大気透明度の調査を続行。パノラマカメラによる光度測定。ナビゲーションカメラによる太陽撮影。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。
ソル1246日(2007年7月5日)
起きた後、パノラマカメラによる大気透明度の調査と空のサムネイル画像撮影。ミニ熱放射分光計による空と地表の調査。ミニ熱放射分光計による「ナオミ・マイヤー」というターゲットのサーベイと、同機器による暗黒の計測結果の変化のチェック。続けられている大気透明度の調査とミニ熱放射分光計による周囲のサーベイに加え、「アイリーン・ディーン2」というターゲットのステレオ顕微画像を撮影。科学機器をアルファ粒子X線分光計に替えて「アイリーン・ディーン2」に配置してから休息。再び起きて大気透明度の調査と周囲のサーベイ。次にもう1度休息して、火星現地時間午後11時10分に起き、「アイリーン・ディーン2」の12時間にわたるアルファ粒子X線分光計計測を実施。この後の計画は、分析を中断して大気透明度の計測と、次の朝の空と地表のスキャン。
ソル1246日(2007年7月5日)現在のトータル走行距離は7キロ147.93メートルである。
2007.7.22
Image Credit: Image credit: NASA/JPL-Caltech/Cornell |
オポチュニティは文字通り暗い日々を送っている。これはスピリットも同じで、2つのローバーはどちらもこの数週間というものチリ嵐の中にいるのである。オポチュニティがいる「ビクトリア・クレーター」があるメリディアニ平原領域の状況は特に悪い。
小さな局所的チリ嵐が大きく広がって火星全体を包む嵐になるかもしれないと危惧されている。もしそうなれば太陽光が遮られる時間が長くなり、オポチュニティが機能するのに必要な電力を得ることが困難になってくるのである。しかし幸運なことに、2007年7月19日段階のオポチュニティ・サイトはわずかに晴れ上がってきており、嵐が終わったら、2つのローバーからのデータにより、どのようなチリが大気中にまき散らされたのかが分かると期待されている。
画像: 画像上部の数字は、ギリシャ文字の「タウ」で示されている大気の不透明度である。この値が小さくなると空は透明になる。オポチュニティもスピリットも、2007年7月に、3年半にわたるこれまでの観測で最も大きなタウ値を記録している。下に表示されている5つのソル日は、2007年6月4日、6月30日、7月5日、7月13日、7月15日に対応している。
ムービー: 空を強調するために地平線サーベイ画像を横方向に圧縮して作ったムービー。このムービーは、オポチュニティの南西方向の平原のほぼ同じ部分の、30火星日間にわたる空の明度が示されている。画像の色はほぼ自然色で、使用フィルターは601ナノメートル、535ナノメートル、482ナノメートルである。
Image credit: NASA/JPL/Arizona State University 火星では2007年6月の最終の週にメリディアニ平原西の赤道領域でチリ嵐が発生し、約1週間後には南半球全体に広がった。チリは現在北半球にも流れ込んでいる。 このチリ嵐は火星で調査をしている5つの探査機、NASAのオポチュニティ・ローバー、スピリット・ローバー、マーズ・オデッセイ、マーズ・レコネッサンス・オービター、それに欧州宇宙機関のマーズ・エクスプレスに影響を与えている。 このマップはマーズ・オデッセイ搭載の機器による9ミクロン波長の赤外線観測で得られた大気不透明度を色で示したもので、スケールバーの値は、ほぼ透明(0.05、紫色)からほぼ3分の2の太陽光が遮られる濃度(0.40、赤色)までである。 |
2007.7.15
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チリ嵐の前後を比較する画像。左の画像はチリ嵐発生前のソル1205日にパノラマカメラで撮影したもので、地表は太陽光に照らされていて明暗がはっきりしている。右の画像はチリ嵐発生後のソル1225日にパノラマカメラで撮影したもので、大気中のチリのために空の色が多少茶色っぽくなっていて、太陽光が遮られているために地表の明暗がはっきりとしていない。画像の縁が暗くなっているのはカメラのレンズ効果のためで、空の色にむらがあるためではない。どちらの画像も使用フィルターは601ナノメートル、530ナノメートル、480ナノメートルで、画像処理方法も同じである(赤色と黄色が強調されている)。(m.kanai)
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オポチュニティは大気不透明度が記録的になった南半球の巨大なチリ嵐のため、電力レベルがこれまでで最低になっている。ソル1225日のタウ値は4.12となり、この結果、太陽電池の発電量はわずか280ワット時になった。タウ値が5.0になると、電力は150ワット時になると見込まれ、もしタウがこの値に近づいていくようなことがあれば、バッテリーを枯渇させないためのエネルギー節約として通常の通信も取りやめることになる。
オポチュニティは、ソル1217日に動かなくなったロボットアーム・ジョイントを復旧することにソル1223日に成功した。
チリ嵐がおさまれば、オポチュニティは「ダックベイ」の縁を南方向に約30メートル移動して、「ビクトリア・クレーター」への進入位置につくことになっている。
毎日の活動は、午前中の高利得アンテナによる地球への直接アップリンク通信。夕方のマーズ・オデッセイを介したUHF波長ダウンリンクである。
ソル1220日
パノラマカメラによる大気チリの調査後、電力保持のため活動はなし。
ソル1221日
パノラマカメラによる大気チリの調査後、電力保持のため活動はなし。
ソル1222日
パノラマカメラによる大気チリの調査後、電力保持のため活動はなし。
ソル1223日
顕微画像撮影。次にアームをたたむ。この行動はナビゲーションカメラで確認された。次に顕微画像撮影装置のカバーを閉じ、これもナビゲーションカメラで確認された。次に動かなくなったアームの診断テストを実施。
ソル1224日
パノラマカメラによる大気チリの調査後、電力保持のため活動はなし。
ソル1225日
パノラマカメラによる大気チリの調査後、電力保持のため活動はなし。
ソル1225日現在のトータル走行距離は11キロ424.67メートルである。