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NASAのハッブル宇宙望遠鏡の鋭敏な目で、これまで立証されていなかった技術(測定天文学〜位置天文学の一部門〜)を使って、太陽系外惑星の正確な質量計測が国際チームによって行われた。この結果、計測された太陽系外惑星の質量が、我々の最大の惑星「木星」の1.89倍から2.4倍の間であることが分かった。この惑星のこれまでの推定質量は誤差が大きく、木星の1.9倍から100倍の間というものだった。
このような正確な計測が可能となったのは、ハッブル搭載の「高精度ガイダンス・センサー」と呼ばれる機器のおかげで、これによって「Gliese 876」と呼ばれる赤色矮星の小さな「横揺れ」が計測されたのである。この機器は、ハッブル自体の飛行を安定させて撮影目標天体を正確にねらうために使われている。このような「横揺れ」が起きるのは見えない伴天体が存在するためで、伴天体は1998年に地上望遠鏡によって発見され「Gliese 876b (Gl 876b)」と命名された。
「Gl 876b」は、正確な質量が計測された太陽系外惑星としては2つ目に過ぎず(第1番目は「HD 209458」) 、測定天文学技術を使って質量が確定されたものとしては最初のものである。
この技術が惑星質量を確定する手段として宇宙望遠鏡で使えることが実証されたので、これまでに発見された数十の太陽系外惑星のはっきりしなかった質量も計測されることになるだろう。
この赤色矮星のヨーヨーのような動きの観測は、2年間にわたってトータルでハッブル地球周回27周回の時間を使って行われた。星のこの種の動きの観測は非常に難しく、計測された角度は0.5ミリ秒角で、これは4800km彼方に置かれた25セント硬貨の大きさを計測するのと同じである。
「Gl 876b」は「Gl 876」を周回している2つの惑星のうち中心天体から遠い方の惑星で、近い方の惑星の存在が分かったのは「Gl 876b」が発見された1年後の1999年のことだった。この2つの惑星の発見は、「Gl 876」が「行ったり来たりする」微妙な揺れの計測によって行われた。この計測技術は、視線速度(天体が観測者に対して前進または後退する速度)計測技術と呼ばれている。
この惑星の質量の確定には、測定天文学のデータと視線速度データ(この惑星を発見した方法)の両方が使われ、そこから惑星の軌道の傾きが差し引かれた。もし地球に対する惑星の傾きがわからなければ、計測できるのは惑星の最小の推測質量だけである。もし惑星の軌道が地球に対してほとんど正面に向いていれば、その質量は桁外れに大きいということになる。このような状況でも星は前後にわずかに揺れ、このようなわずかな揺れもハッブルによって検知できるのである。今回観測された惑星の地球に対する軌道の向きは、その軌道面の縁が我々に向いているということが分かり、このことで、惑星の質量が小さいということになったのである。
ハッブルを使ってこの種のリサーチが可能な星は、これ以外にもいくつかある。これらいくつかの候補以外のものは、遠すぎてハッブルでも計測できない。しかし、NASAが計画している、ハッブルよりもはるかに詳細な観測ができる「宇宙干渉計ミッション」では、遠方の数百の星の惑星を計測することができる。
太陽系外惑星の質量が正確に分かるということは、惑星形成の方法に関する多くの疑問を解く糸口ができるということである。あらゆるタイプの星を周回している数百の惑星の質量が計測されれば、どのようなタイプの星にどのようなタイプの惑星が形成されるのかが分かってくる。大きな星には大きな惑星ができ、小さな星には小さな惑星ができるということなのだろうか?
星の揺れの計測は、数十年の間、惑星検出に使われている。しかし、このためには、桁外れの正確さと望遠鏡の光学系の安定性が要求される。ハッブルの高精度ガイダンス・センサーは、太陽系外惑星の超正確な計測を達成できる初めての測定天文学の道具となった。
天体面通過データと視線速度データを使って初めてその質量が確認された惑星は、太陽のような星「 HD 209458 」を周回している巨大ガス惑星である。計測が可能になったのは、この惑星が4日ごとに星の正面を通り過ぎて、星の光がわずかに暗くなっていることが発見されたからで、もしそうでなければ計測はできなかった。この現象は惑星軌道面の縁がこちらに向いているという証拠で、このことから惑星の質量が最小限界値だということになり、その質量が木星質量の0.7倍だということが分かったのである。